
米国のホテルで数十羽の孔雀が姿を消した。
ニューシスは、現地時間23日にCNNとニューヨーク・タイムズが報道した内容を引用し、今月20日、米国カリフォルニア州サクラメント・デルタ地域にあるホテルの庭で飼育していた数十羽の孔雀が消えるという事件が起きたと報じた。
ホテルの総支配人デイビッド・ニールソン氏は20日、客が孔雀を捕まえてトラックの荷台に積まれた檻に入れる場面を目撃した。
その後、スタッフが孔雀を数えたところ、以前は数十羽いた孔雀のうち、わずか4羽しか残っていなかった。
警察はこの事件を財産犯とみて捜査を開始した。
サクラメント郡保安官事務所のアマール・ガンディ警部は、「オスの孔雀は1羽あたり2,000ドル(約29万9,328円)、メスは1,000ドル(約14万9,664円)の価値がある」と説明した。
このホテルと孔雀の歴史は15年前、オーナーが庭に放つ目的で5羽の孔雀を購入したことから始まった。その後、孔雀は自然に繁殖してホテルのシンボルとなり、いつしかアール・デコ様式のホテルを代表する存在となった。
アール・デコ様式とは、1930年代から1940年代にかけて世界のデザイン界に影響を与えた視覚芸術デザイン様式だ。
ホテルのスタッフは、レストランで余ったフィレ肉やリブ、サーモンなどを孔雀に与え、丁寧に世話をしていた。鳥たちは次第に人に慣れていき、スタッフは彼らをペットのように扱い、名前までつけていた。
出張料理担当のレイフ・グルウィッチ氏は「1日2回、約15羽の孔雀に餌をやっていた」と述べ、「一番大きいオスには『アリババ』という名前をつけ、略して『ババ』と呼んでいた」と語った。
彼は「ババは、ホテルの廊下や宴会場、庭を自由に歩き回り、まるで自分が主人かのように振る舞っていた。私たちは彼のために働いているような気分だった」と回想した。
通常、孔雀は人間を警戒するが、ババは子犬のように人懐っこく、スタッフから深く愛されていた。
スタッフはこの事件を「ミステリー」と表現した。ホテルが市中心部から30マイル(約48km)も離れた場所にあるため、これまで犯罪がほとんど起きなかったからだ。特に、孔雀のような大きな鳥を音もなく複数捕まえて移動させたことに、スタッフは疑問を抱いた。
鳥たちが姿を消したというニュースが広まると、ホテルにはさまざまな情報が寄せられた。中には、近隣住民が新たに孔雀を見かけたとの通報もあった。
ホテル側は、孔雀たちが無事に戻ってくることを願い、セキュリティ強化のために防犯カメラ(CCTV)を追加設置。フェンスも補強する計画だと発表した。
ニールソン支配人は「孔雀たちは単なる飾りものではなく、家族同然の存在だった」と述べ、「一刻も早く再会したい」と訴えた。
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