
性的マイノリティへのヘイト発言で物議を醸した極右活動家の男が、「社会的性別変更」を悪用して女性刑務所に収監された。
8月20日、ドイツのメディアであるフランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング(FAZ)などによると、極右活動家マルラ・スベンヤ・リービヒ(53)は、ドイツ東部ザクセン州のケムニッツの女性刑務所での服役を言い渡された。ただし、リービヒは服役前に収監面接を受け、刑務所内の安全や秩序に対する脅威を与えるかどうかが判断され、場合によっては移送される可能性がある。
リービヒは、性的マイノリティを「社会の寄生虫」と表現するなど、憎悪扇動や侮辱などの容疑で起訴され、2023年7月の一審で1年6か月の実刑判決を受けた。今年5月に刑が確定し、現在は憲法裁判所に上訴している。
裁判の過程でもリービヒの奇行は続いた。リビヒは今年1月、性的マイノリティへの嘲笑の意図で、突如として自身の社会的性別を男から女に変更した。これは、昨年11月から施行された「性別自己決定法」の抜け穴を突いたものだ。
ドイツの性別自己決定法は、14歳以上の成人および法定代理人の同意を得た未成年者が、裁判所の許可なしに行政上の性別と名前を自ら変更できると規定している。性別適合手術も不要であり、精神科医の診断と裁判所の判断を要する従来の手続きを不要な人権侵害とみなし、自己決定権を強化する狙いだ。
リービヒはハレ地域で定期的な右翼過激派デモを主催し、全国的に知られるようになった。彼は緑の党のレナーテ・キュナスト議員らを繰り返し中侮辱し、難民や移民への憎悪を扇動した。2016年以降、リビヒは暴行、侮辱、脱税などの容疑で複数回有罪判決を受けた。
性別変更後、リービヒは自身を「マルラ=スヴェンヤ」と名乗り、「スヴェン」という名前を女性形の「スヴェンヤ」に変えた。彼は髭を生やしたまま口紅を塗り、ピアスを着け、「政治的迫害を受ける女性人権活動家」と自称している。
女性刑務所で他の受刑者の安全を守るためリービヒを独房に入れるべきだとの声が上がると、20日、リービヒはXで「独房は拷問だ。私は生まれつき普通の女性だ」と主張した。
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