
クレイトン・カーショー(37、LAドジャース)がシーズン8勝目を挙げ、通算220勝に到達した。22日(日本時間)、敵地クアーズ・フィールドで行われたロッキーズ戦に先発し、5回2/3を投げて6安打3奪三振1四球3失点。苦しい展開ながら勝利投手となり、今季成績は8勝2敗、防御率3.13となった。

昨季は7試合で2勝2敗、防御率4.50と精彩を欠いた。ここ1〜2年は肩、膝、足指と次々に手術を受け、昨年11月には膝と足指を同時に手術。さすがに「カーショー時代は終わった」と感じさせるには十分だった。
ドジャースも数年前から短期契約を続け、もはやエースとしては見ていなかった。次々と大型先発を補強し、カーショーの存在感は意図的に薄められていた。チームの未来を考えれば当然の選択だった。
それでも現状、カーショーは山本由伸と並んで先発陣の柱に。シーズン途中からの合流にもかかわらず、山本(24試合)に次ぐ16試合で先発登板している。故障者続出のローテの中で、経験豊富なベテランの働きは際立っている。2023年の13勝以来、2年ぶりにシーズン二桁勝利が目前だ。
球速は全盛期のようには出ていない。フォーシームは80マイル後半から90マイル前半。スライダー、スプリッター、カーブに加え、3回にはライアン・リッターに対して58.3マイル(約93.8キロ)のスローボールまで投じた。もはや剛球でねじ伏せるタイプではないが、ゲームメイク能力は健在。緩急と配球術で打者を翻弄し、カーブを積極的に使うことでフォーシームが速く見える効果も得ていた。
今のドジャースにとってカーショーの存在は不可欠だ。ポストシーズンを見据える上でも、コンディション管理が最大のカギ。山本と並んでローテを実質的に引っ張るのは、この男しかいない。ドジャースの投手陣にとって、カーショーはまさにお手本であり、生ける伝説だ。
通算220勝はドン・サットン(233勝)に次ぐ球団歴代2位。いよいよ背中が見えてきた。今季を順調に終えれば、来年にもサットンを抜く可能性が高い。さらにマックス・シャーザー(ブルージェイズ)と並び、現役最多勝のジャスティン・バーランダー(263勝)との差も少しずつ詰めている。

2010年代を支配した大エースが、2020年代もなおマウンドに立ち続ける。信じがたいが、それが現実だ。
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