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2025年08月25日月曜日
ホームトレンド「猛暑で変わる墓参り」冷却パック配布にスマホ合掌、広がる代行サービスの現実

「猛暑で変わる墓参り」冷却パック配布にスマホ合掌、広がる代行サービスの現実

引用:NHK、KBS放送画面キャプチャ
引用:NHK、KBS放送画面キャプチャ

日本が記録的な猛暑に見舞われる中、従来のお墓参りの姿が変わりつつある。猛暑を避けるため、「お墓参り代行サービス」を利用する人が急増し、各墓地では熱中症対策が目立つようになった。

東京の公園墓地では、参拝者に冷却パックを無料で配り、日傘の貸し出しも始めた。今年からは、熱中症警戒警報が出た日に注意を呼びかける放送も行われている。

公園墓地の田中裕司代表は、NHKの取材に対し「命に関わる猛暑だからこそ、できる対策はすべて講じなければならない」と語った。

この日の気温は約30度だったが、墓石の表面温度は35度を超えていた。公園墓地側は「石は熱を蓄積し、そのまま放出します。体調が悪くなったらすぐにスタッフにお声がけください」と呼びかけた。

墓地は日陰が乏しく反射熱も強いため、熱中症の危険が高まりやすい。参拝者の多くを高齢者が占める現状では、なおさら注意が求められている。

ビデオ通話でお墓参り…「スマホ画面に向かって合掌」

「お墓参り代行サービス」への需要も急増している。東京都八王子市にある代行業者は、前年比で約2倍となる60件の依頼を受けたという。

お盆休みの13日、代行サービスの現場では珍しい光景が見られた。栃木県日光市在住の60代女性の依頼を受けたスタッフが、ビデオ通話を通じながら墓地の掃除を始めたのだ。

雑草を抜き、墓石を丁寧に磨く様子がリアルタイムで中継されると、画面越しの依頼者はスマホに向かって合掌した。

引用:NHK放送画面キャプチャ
引用:NHK放送画面キャプチャ

依頼者は「両親も高齢で、最近の猛暑のために直接お参りに行けないと思い、初めて代行をお願いした」と話し、「最初は他人に頼むのに抵抗があったが、丁寧にしていただき感謝している」と語った。

お墓参り代行は全国的な傾向となっている。NHKによると、全国展開する大手清掃サービス会社では、5年前に比べて依頼が15~20%増加したという。

八王子市の代行業者、小原代表は「気温が上がると問い合わせも増え、昨年の1.5~2倍になった」と説明し、「猛暑のため遠方から来られない人も多い」と述べた。さらに「画面を通じてリアルタイムで墓を見られる、このようなサービスは、今後も需要があるだろう」と展望を語った。

専門家は、この変化が気候変動と高齢化が相まった結果だと分析する。猛暑が日常化し、伝統的なお墓参りが物理的に困難になる中、高齢化により直接のお参りが難しい家庭が増えるため、代行サービスが新たな選択肢として定着しつつあるという。

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