ベトナム、南シナ海で人工島建設を急拡大…中国が強く反発
ベトナムが南シナ海のスプラトリー諸島(中国名・南沙諸島)で進める人工島建設が急拡大。過去4年間で規模を拡大し、中国の埋め立て速度に匹敵する水準に近づいている。一方、中国外務省は「南沙諸島は中国の固有の領土」と強調し、「必要な措置を講じて自国の領土主権と海洋権益を守る」と警告した。

26日付の香港紙『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)』によれば、米ワシントンの戦略国際問題研究所(CSIS)は最新の衛星写真分析の結果、ベトナムが2021年に開始した埋め立て事業を今年に入り8つの岩礁へ拡大したと発表した。
ベトナムは現在、同諸島で計21の岩礁や干出地を人工島化している。CSISは「昨年3月時点で、ベトナムは中国が造成した人工島面積のおよそ7割に相当する陸地を形成しており、今後すべての埋め立て作業が完了すれば、中国に匹敵するか、あるいは上回る可能性がある」との見方を示している。
新たに埋め立てられた地域では、弾薬庫や行政棟など各種施設の建設が相次いでいる。ただし、当初予想されたような戦闘機用滑走路の増設は見送られ、新設は1か所にとどまった。専門家は、中国と異なり、ASEAN内の対立激化や領土紛争を考慮し、戦略施設の拡大には慎重姿勢を取っているためと分析している。
南シナ海問題は、ASEAN諸国にとって微妙な緊張要因となっている。ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイに加え、中国や台湾も領有権を主張しており、各国は中国の動向に強い警戒を示している。フィリピンとベトナムなど一部の国々は、海上保安当局間のホットライン設置など共同対応の枠組みを整備し、局地的な衝突リスクの管理に注力している。
ベトナムによる人工島建設の拡大も、中国をけん制する狙いがあるとみられるが、ベトナム政府は公式なコメントを控えている。不要な摩擦を避ける思惑が背景にあるとされ、その結果、現時点ではASEAN内部の亀裂が深刻化していないとの見方も出ている。
現地の専門家らは、ベトナムの動きについて「防衛的措置」であり、既に占有している岩礁の防御力を強化することが目的で、地域覇権の獲得を狙ったものではないと解釈している。シンガポールの専門家コリン・コー氏は「人工島だけでは地域の軍事バランスは変わらない。実質的には艦船や航空機といった機動力のある戦力が決定要因となる」と指摘した。
中国外務省はベトナムの埋め立て拡大に反発し、「南沙諸島は中国の固有の領土」と従来の立場を強調。「関係国が不法に占拠している島での建設活動に断固反対する」とした上で、「今後必要な措置を講じ、中国の領土主権と海洋権益を守る」と警告した。
ただし、フィリピン・米国・オーストラリアによる安全保障協力の強化など、地域の安保体制再編への動きと比べると、中国の対応は相対的にトーンが低いとの評価もある。中国が先に人工島建設に乗り出した経緯を踏まえれば、国際社会の目から見て批判の名分に欠けるためだとする分析もある。
中国は2013年にスプラトリー諸島周辺で大規模な埋め立てに着手し、2016年までに7つの岩礁で造成と施設建設を完了。各人工島には軍事基地や港湾、滑走路など最新のインフラが整備されている。
コメント0