
米ファミリーレストラン大手クラッカー・バレル(Cracker Barrel)は、進めていたロゴ変更を撤回した。新ロゴから「樽に寄りかかる男性」の図柄が削除されたことを受け、保守派が不買運動を表明し、ドナルド・トランプ大統領も論争に加わったためだ。
26日(現地時間)、アクシオスなど海外メディアによると、クラッカー・バレルは声明で「新ロゴは廃止し、従来のロゴを維持する」と発表した。同社は「世論に耳を傾ける」と説明した。ロゴ変更案の公開からわずか1週間での決定で、この間にオンライン上で反発が広がり、株価は9%下落した。
論争は、ジュリー・フェルス・マシノ最高経営責任者(CEO)がニューヨーク・マンハッタンのポップアップ店舗で大規模なブランド刷新を披露したことに端を発した。スターバックスやタコベルでの経験を持つマシノ氏は2023年に就任し、伝統色の強いクラッカー・バレルに刷新を試みた。
金色の盾を背景に、現代的な茶色のフォントでブランド名のみを表記した新ロゴが発表されると、南部テネシー州で生まれたブランドの象徴性を損なうとの批判が直ちに広がった。MAGA支持者は「クラッカー・バレルは米国の伝統を捨て、ウォーク思想に屈した」と反発した。
さらにメニュー改定や店舗アイテム削減といったブランド刷新策も保守派の不満を強め、「米国らしさを失い、特徴のないブランドに転落した」と批判し、CEOの辞任を求める声が上がった。
論争は、ドナルド・トランプ・ジュニアが「反ウォーク」のメッセージを発信したことで政治問題に発展した。一部ではクラッカー・バレルの取締役会メンバーをDEI(多様性・公平性・包摂)推進派と非難し、不買運動を呼びかける動きも起きた。
事態はトランプ大統領が介入したことで収束に向かった。大統領は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に「旧ロゴに戻せ。顧客の反応を踏まえ、誤りを認めよ」と投稿し、数時間後にクラッカー・バレルは従来ロゴへの回帰を公式に発表した。
クラッカー・バレルは「我々は米国のブランドだ」とし、「7万人の従業員が店舗で顧客を迎えることを期待している」と述べた。
ホワイトハウスの副補佐官テイラー・ブドビッチはX(旧:Twitter)で「クラッカー・バレル経営陣と協議し、象徴的な『オリジナル』ロゴ問題に関心を示したトランプ大統領に謝意を表明した」と記した。
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