7年間じゃがいもしか食べなかった8歳の少年
その原因は精神疾患にあった
英国に住む8歳の男児が、じゃがいもに固執した結果、7年間にわたりじゃがいもだけを食べ続けたという逸話が明らかになった。
単なる偏食と見なされていたこの症状は、実際には精神疾患によるものであったことが判明し、注目を集めている。
マンチェスター・イブニング・ニュースなどが先月26日に報道した内容によれば、レニー・サティンくん(8)は生後18ヶ月の頃から新しい食べ物を拒否し、嘔吐反応を示していたという。

その後、彼は焼いたじゃがいもにチーズと豆を添えた料理だけを摂取するという極端な食習慣を続けた。これまでにサティンくんが食べたじゃがいもの数は、約2,500個に上ると推定されている。
サティンくんの母親は、偏食によるエネルギー不足と成長不振、さらにむずむず脚症候群(じっとしていると脚がむずむずする症状)などを懸念し、小児科を受診させた。しかし、医師たちはこれを単なる偏食と判断し、効果的な改善策を見出すことができなかった。
催眠療法を利用し食習慣を改善、24種類の新しい食べ物が摂取可能に
解決策を求めたサティンくんの母親は、認知行動催眠療法士のデイビッド・キルマリー氏を訪ねた。
キルマリー氏は、サティンくんの状態を「回避・制限性食物摂取障害(Avoidant・RestrictiveFoodIntakeDisorder, ARFID)」と診断した。
この疾患は、特定の食物群を過度に回避したり、限定的に摂取する精神疾患であり、摂食障害の一種だ。
驚くべきことに、たった1回の催眠療法で、サティンくんの食べ物に対する恐怖心が大幅に軽減された。治療直後から、彼はイチゴとバナナを食べることに成功し、現在では24種類の新しい食べ物を摂取することが可能となった。
現在も週に2〜3回はじゃがいもを食べているが、今はバランスのとれた食事も取り入れており、5kmのランニングに参加できるほど健康を回復している。
キルマリー氏は、「サティンくんのように、長期間にわたって一種類の食べ物だけを摂取し続けると、必須栄養素の不足や成長の遅れを招く可能性がある」と指摘し、適切な治療の重要性を強調した。
ARFIDは、2013年にアメリカ精神医学会で初めて報告された、比較的新しい診断名だ。
この疾患を持つ患者は、激しい食欲不振を経験し、特定の食べ物のみを好む傾向がある。また、初めて見た食べ物や好まない食べ物を摂取した際、嘔吐するかもしれないという不安を抱くこともあるという。過食症など他の摂食障害とは異なり、体重に対する執着は見られないのが特徴だ。
ARFIDの正確な発症原因はまだ解明されていない。専門家は、特定の色や臭い、食感に対する拒否感、また過去の窒息や嘔吐の経験に起因する恐怖心などが発症に影響を及ぼす可能性があると推測している。
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