
「国際線に乗るのが不安」 日本航空で再び飲酒問題
日本航空(JAL)でパイロットや客室乗務員による飲酒トラブルが相次いでいる。安全運航への信頼を揺るがす事態を受け、同社は18日、全ての運航乗務員に対し、社内規定を順守する誓約書の提出を求めるなど、異例の対応に乗り出した。役員報酬も一律で減額する。
きっかけは先月28日、米ハワイ・ホノルルに滞在していた同社機長が酒を飲んだため、担当予定だった便を含む3便が最大18時間遅延した事件だ。
鳥取三津子社長は「安全に関わる問題で行政指導を受けていた中で、再び事案が発生したことを重く受け止めている」と述べ、当該機長の懲戒解雇と役員の減俸処分を明らかにした。
JALの飲酒問題は今回が初めてではない。昨年5月には米国での宿泊先で乗務員が飲酒トラブルを起こし、国土交通省から厳重注意を受けた。同年12月にもオーストラリアで機長・副操縦士らの過度な飲酒で出発が遅れ、行政指導を受けている。鳥取社長の体制下で既に3度目となる。

2018年には、同社の操縦士がロンドン・ヒースロー空港で出発50分前に酒に酔った状態で現れ、現地で逮捕・起訴された。検査では血中アルコール濃度が1リットル当たり189ミリグラム(基準値20ミリグラムの約10倍)に達し、事実上の泥酔状態とされた。この操縦士は英国の裁判所で禁錮10カ月の実刑判決を受けている。さらに同年末には、ビジネスクラス担当の客室乗務員が機内で飲酒していたことも発覚した。
こうした一連の不祥事を受け、国交省は当時JALに対し「事業改善命令」を発出。全日本空輸(ANA)やANAウイングス、スカイマーク、日本エアコミューターなどでも飲酒トラブルが確認され、「厳重注意」とした。しかし、その後も飲酒をめぐる問題は後を絶たない。
背景には、国際線勤務の乗員が時差の影響で眠れず、酒に頼ってしまうケースがあるとされ、各社は再発防止策の強化を急いでいる。
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