
1993年に公開されたSF映画『ジュラシック・パーク』で観客の目を引いた場面の一つは、琥珀の中の蚊から恐竜の血液を抽出し、中生代の恐竜を復活させるシーンだった。
そうした設定を連想させる研究成果が報告された。
スペインやスウェーデン、米国、ドイツなど9カ国の国際共同研究チームが、エクアドルの採石場で多様な昆虫化石を含む琥珀を発見したと22日に発表した。研究には、スペイン・バルセロナ大学や国立地質鉱山研究所、アルカラ大学、バルセロナ植物学研究所、パナマ・スミソニアン熱帯研究所、コロンビア・ロサリオ大学、カルダス大学、エクアドル国立ポリテクニック大学、ブラジル・リオデジャネイロ連邦大学、スウェーデン国立自然史博物館、米ミシガン大学古生物学博物館、シカゴ・フィールド博物館、ドイツ・フランクフルトのゼンケンベルク研究所と自然史博物館の科学者らが参加した。研究結果は地球科学の国際学術誌「Communications Earth & Environment」9月19日号に掲載された。
琥珀は樹脂が化石化したもので、表面年代は広範囲に及び、古いものは約3億2000万年前にさかのぼる。中生代白亜紀(約1億4310万年前~6600万年前)のうち、特に1億2000万年前から7000万年前の試料が多く残っている。琥珀は内部に植物や動物を封じ込めることがあり、昆虫や花といった通常は化石として残りにくい生物の研究を可能にする。これまで確認された主要な琥珀の産地は北半球に偏っており、白亜紀に超大陸ゴンドワナから分離した南半球の生物多様性や生態系については理解が限られてきた。
研究チームはエクアドル東部オリエンテ盆地のオリン層にあるヘノベバ採石場の琥珀と周辺の岩石を分析した。約1億1200万年前と推定される琥珀には二種類あり、一つは樹木の根の周囲の地下で形成されたもので、もう一つは空気中に露出して形成されたものだ。研究チームは空気中で形成された60個の琥珀標本を詳しく調べ、そのうち21個に昆虫の痕跡を確認した。ハエ目、コウチュウ目、ハチ目など5つの目に属する昆虫が含まれていた。また胞子や花粉、植物片なども見つかり、樹脂を分泌する木々が優占する湿潤で植生の密な森で形成されたことが分かった。これは当時、ゴンドワナ大陸南部に位置していた地域だと結論づけられている
研究を主導したバルセロナ大学のハビエル・デルクロス教授は「今回の発見は、1億1200万年前のゴンドワナ大陸の森を一望させるものであり、これまでほとんど知られていなかった古代生態系を研究する新たな可能性を示した」と述べている。
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