
中国内モンゴル自治区で、数百年続く伝統育児法「ウルギ(Ulugyi)」が再び注目を集めている。
ウルギは木製の揺りかごに乳児を包み込み、母親の胸を再現する方法だ。現代ではその特異性と効果をめぐり賛否が生じている。
24日(現地時間)、香港紙サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は、モンゴルの家庭では木製のウルギに乳児を寝かせ、布団と布で固定すると伝えた。
揺りかごの底にはおむつを敷き、時には砂や土を用いることもある。ウルギは数百年にわたり受け継がれ、育児の知恵とされてきた。一方で、乳児に不快感を与える可能性があるとの批判もある。
ウルギは13世紀から続く伝統で、木と銅の輪やロープで作られる。モンゴルの家庭では揺りかごにバターを塗り、女児には鏡、男児には小弓や刀を飾って祝福の意味を込めた。
乳児の脚をまっすぐに伸ばして寝かせ、布団で包み、布で固定する。固定の強さは安全を確保しつつ血流を妨げない程度に調整される。
このような包み方は母体の子宮や胸の安心感を再現し、乳児が揺りかごの揺れに合わせて眠ることを助けた。
かつてモンゴルの遊牧民が草原を馬で移動する際にも、ウルギは乳児を安全に保護する役割を担った。
ウルギは家族間で受け継がれ、兄弟姉妹や世代を超えて使用されることもある。親によっては乳児の誕生から1週間後に使い始め、5歳まで続ける例もある。
一部の高齢者は、揺りかごの底に砂や土を敷くことで、大地が子どもを育み健康を守ると信じた。ウルギで乳児を包む行為は、実用的な育児の知恵であると同時に、親の愛情表現の一つとされた。
2016年にはウルギが中国の無形文化遺産に正式認定された。
しかし、ウルギには反対意見もある。一部からは「拷問道具」との批判があり、「現代的な電動揺りかごを使うべきだ」との意見もある。
一方、支持する側からは「電動の揺りかごより人間味があり、意味がある」との主張があり、「内モンゴルでは多くの人々がこの方法で育ち、健康に成長した」との声もある。
内モンゴル出身の母親は「娘はウルギに包まれるとよく眠り、ベッドで寝かせるより長く眠る」と語った。
「バトゥ」のあだ名を持つ男性は「子どもの頃はウルギに包まれると泣き止んだ。現在は上海で働き、寝付けないときに布団に包まれた感覚を思い出す。草原での子ども時代が懐かしい」と述べた。
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