「携帯で音楽を聴くとお腹の中で響く」
「子宮手術を担った医師が盗聴器を埋め込んだ」と損害賠償請求…1審・2審も敗訴

中国の50代女性が「音楽を聴くたびにお腹の中で反響音がする」と訴え、自身の子宮内に盗聴器が埋め込まれていると主張した。過去に子宮手術を受けたこの女性は、手術を担当した産婦人科医を相手取り訴訟を起こしたが、1審に続き2審でも敗訴したことが明らかになった。
中華網などの中国メディアによると、遼寧省に住む59歳の女性・イェ氏は、ここ2年ほど、携帯電話で音楽を聴くたびに腹部に不快感を覚え、音楽が体内で反響しているように感じたという。
イェ氏は8年前、産婦人科で子宮内に装着していた避妊具を除去する手術を受けた。その後も腹痛が続いたため、今年1月に病院で超音波検査を受けたとされている。
検査の結果、腹部に直径約2.5cmの病変が確認された。超音波検査の写真や映像には、円形の病変の内部に液体がたまっているような様子が映っており、さらに骨盤内にも水がたまっていたという。
イェ氏は超音波写真に映った円形の病変を「盗聴器」だと主張した。避妊具を除去した際に産婦人科医が自分の子宮内に盗聴器を埋め込んだと疑い、医師を相手取り、盗聴器の除去と経済的・精神的損害の賠償を求める訴訟を起こした。
「超音波に映った病変は盗聴器」と主張
裁判所は1審で原告敗訴の判決を言い渡した。判決では、イェ氏の腹部には盗聴器を含む異物は存在せず、イェ氏が「盗聴器」と主張する円形の病変は卵巣嚢腫であると判断した。
また、仮に腹部内に異物があったとしても、被告である産婦人科医が行った子宮内避妊具の除去手術との関連性を立証できていないと付け加えた。
彼女はこの判決を不服として控訴したが、2審でも棄却された。裁判所は、イェ氏が自身の腹部に盗聴器があるとする主張、また産婦人科医が避妊具の除去時にそれを埋め込んだとする主張をいずれも証明できなかったと判断したのだ。
この一連の訴訟について、医療関係者の間では「イェ氏の症状は卵巣嚢胞によるもの、あるいは子宮手術に伴う後遺症の可能性がある」との見方も出ている。
「盗聴器ではなく『卵巣嚢腫』」…腹痛などの症状も
卵巣嚢腫は、卵巣の内部に液体が溜まった嚢胞ができる疾患である。毎月、卵巣内で形成される「卵胞」と呼ばれる小さな水ぶくれが、水のうのように変化して発生するのだという。
卵巣嚢腫のほとんどは、排卵の過程で卵胞が十分に成熟せず、排出されないことで生じる「機能性卵巣嚢胞」である。このような卵巣嚢腫は、妊娠可能な年齢の女性によく見られるもので、良性であり、癌ではない。通常、1〜3か月以内に自然に消失するとされている。
嚢胞が小さい場合は自覚症状がないことが多いが、腹部の膨満感や圧迫感、腹痛、消化不良、排便・排尿時の不快感などが現れることもある。また、水のうがねじれたり腹腔内で破裂した場合には、腹腔内出血やひどい腹痛を引き起こすおそれがある。
ただし、良性の卵巣腫瘍であっても経過観察が必要だという。嚢胞が7〜8cm以上に大きくなるか、悪性の疑いがある場合は手術による治療が行われる。早期発見のためには、生理周期や経血の量・状態に変化が見られた際に受診し、定期的に健康診断を受けることが望ましいとされている。
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