友人殺害容疑を否認 被告が一貫して無実を主張
隠された真相が明るみに 裁判所が無罪判決を言い渡す
収監前の国外追放命令、無罪確定後に執行

43年間にわたり冤罪で服役していたインド系米国人移民のスブラマニャム・ベダム氏(64)が釈放直後、米移民・関税執行局(ICE)に再び拘束された。現在、彼の釈放を求める声が高まっている。
ICEは、収監前に出されていた国外退去命令を執行する立場にあると主張している。一方、ベダム氏の家族や市民団体は「43年間も不当に自由を奪われた末に、誰も知る人のいない異国に送るのは新たな刑罰に等しい」と強く反発している。
米紙『マイアミ・タイムズ』によると、ベダム氏は殺人の冤罪で43年間収監されたのち、今月3日に釈放されたが、その直後にICE当局により再逮捕されたという。
ベダム氏は1982年、友人を拳銃で殺害したとして仮釈放のない終身刑を言い渡された。しかし、裁判の過程や服役中も一貫して無実を訴え続け、控訴も行ったがすべて退けられていた。
ところが2022年、ある市民団体の弁護士らが事件の隠された証拠を発見し、状況は一変した。当時の連邦捜査局(FBI)の報告書には、「被害者の頭蓋骨の傷は拳銃では生じ得ないほど小さい」との記述があったが、この情報は裁判中に開示されていなかったという。
今年8月、裁判所は「証拠の隠蔽は法的手続きに反する」と判断。10月2日、検察は殺人容疑を正式に取り下げた。ベダム氏は、ペンシルベニア州史上最も長く服役した末に無罪となった人物として記録された。
刑務所を出て自由の身となったベダム氏を待っていたのは、ICEの職員たちだった。
ベダム氏は10代のころ、幻覚剤LSDを流通させた罪で有罪判決を受けており、この時に国外退去命令の対象となっていた。しかし、その後に殺人容疑で服役することになり、追放命令は長年執行されないままとなっていた。
ICEは、ベダム氏の釈放を受け、過去の国外退去命令を執行すると説明している。ベダム氏は釈放当日、ICEの収容施設に移送され、再び拘束された。
ベダム氏の家族と市民団体は、国外退去命令の執行停止を求める法的手続きを進めている。ベダム氏は生後9か月でインドから米国に移住しており、家族は彼にとってインドがまったくの異国であると強調している。
また、43年間の不当な服役中も模範となる行動を示していたことも訴えられた。ベダム氏は収監中、通信教育で修士号を取得し、他の受刑者の高卒認定試験取得を支援していたという。
甥のジョイ氏は『マイアミ・タイムズ』の取材に対し、「叔父が真の自由を取り戻し、家族のもとに帰れるよう、最後まで闘う」と語った。
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