
散歩中に飼い主と共に交通事故に遭った犬は、動かなくなった飼い主の様子を確認すると、家族に知らせるため自宅へと向かった。
米紙ニューヨーク・デイリー・ニュースは、交通事故で骨盤を骨折していながらも、事故を知らせるため自宅まで歩いて戻った犬「ストーミー」のエピソードを報じた。
米ニューヨーク州ベイリッジ地域に住んでいたフランク・デコルベネールさんは、2020年3月5日の夕方、日課である散歩のために11ヶ月の愛犬ストーミーと共に家を出た。
公園に向かうため道路を横断しようとした瞬間、1台の車がストーミーとデコルベネールさんを跳ねた。

その衝撃でデコルベネールさんはその場で即死し、ストーミーは全身に血を浴び、脳震盪や骨盤骨折、肺挫傷などの重傷を負った。
傷ついた体を起こしたストーミーは、飼い主の様子を確認すると歩き出し、事故現場から10ブロック離れた自宅へ向かった。
ストーミーが家にたどり着いた頃、帰宅途中だったデコルベネールさんの息子マイケルさんは、その姿を見て言葉を失った。
マイケルさんの呼びかけに応え、夕食の準備をしていたデコルベネールさんの妻デメトラさんも驚いて外へ飛び出した。
当時を振り返り、デメトラさんは「恐怖で震えていて、フランクがどこにいるのかわからなかった」と語り、「夫が強盗に遭ったのではないかと思い、頭が真っ白になった」と説明した。
彼らは状況を把握するため警察に通報し、ストーミーの体を洗った。その後、マイケルさんはストーミーをゴワナス地域の救急動物病院へ連れて行った。
警察から夫の事故を知らされたデメトラさんは、大きな衝撃を受けた。
彼女は「ストーミーは、何かが起こったことを知らせるために家までやって来たのだろう」と語り、「夫の死を理解していたかどうかはわからないが、とても悲しそうに見えた」と述べた。

病院で治療を受けたストーミーは6日後に自宅へ戻った。幸い、体調は大幅に改善し、食欲も戻っていた。
この事件について、ニューヨーク市警の広報官は、デコルベネールさんが信号のない横断歩道を渡っていたため、運転手への召喚状発行は行われず、いかなる犯罪容疑も提起されなかったと述べた。
しかし、遺族側の弁護士マーク・アルバート氏は「デコルベネールさんの状態から判断すると、運転者は速度制限を守っていなかったはずだ」と異議を唱えている。
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