
インド北部ウッタル・プラデーシュ州シャージャハンプル地区で、生後15日程とみられる女児が生きたまま地中に埋められた状態で発見された。
米CNNの16日(現地時間)の報道によると、シャージャハーンプルで養豚場を営む男性が、村の川辺で捨てられた人形のようなものを見つけ、近づいてみると小さな手が泥の中から出ていたという。
男性は「近寄ると、指が動いていた。さらに顔を近づけると心臓の鼓動が聞こえた。そのとき、誰かがこの子を生きたまま埋めたのだと気づいた」と語った。
女児はタオルに包まれたまま、深さ30センチの土の中に埋められており、口と鼻が土で塞がれていた。かろうじて息をしていたものの、極めて危険な状態だったという。
通報を受けて駆けつけた救急隊が女児をシャージャハーンプル医科大学病院に搬送したが、酸素不足で顔は青ざめ、体温や血圧も危険なほど低下していた。
現地警察は、犯行の背景として三つの可能性を挙げている。
一つは、両親が病弱な赤ん坊を死亡したと勘違いし、伝統的な方法で埋葬した可能性がある。
もう一つは、女児が合指症(指がくっついたまま生まれる先天的な疾患)を持っており、それを理由に遺棄した可能性だという。
また、インドの一部地域に根強く残る「男児優先思想」によって、女児であることを理由に遺棄された可能性も指摘されている。
シャージャハーンプルは人口約300万人の農村地帯で、住民の多くが農業に従事している。家系の血統や伝統的な性別役割意識がいまだ強く残る地域として知られる。
シャージャハーンプルで20年以上勤務してきた小児科医ラジェッシュ・クマール氏は「赤ん坊がひとりで捨てられているのを見たのは初めてだ」とした上で、「過去にも女の子の赤ん坊が捨てられた事例を4、5件ほど見たことがある」と語った。
通報者のシャーム・バブさんは、「赤ん坊を見つけたが、自分で掘り出す勇気がなかった。周囲に誤解され、自分が責められるのではないかと怖かった」と当時を振り返った。
救助された女児には、病院のスタッフがヒンディー語で「天使」を意味する「パリ(Pari)」と名付けた。しかし懸命な治療の甲斐もなく、容体は急変し最終的に息を引き取った。
警察は現在も女児の両親の行方を追っている。
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