
南太平洋の孤島・イースター島に立つ「モアイ像」の謎が、また一つ明らかになった。
米ニューヨーク州立ビンガムトン大学などの研究チームは、モアイ像がどのように運ばれたのかを実験的に検証した研究成果をまとめ、国際学術誌『JournalofArchaeologicalScience』の最新号に発表した。
人の顔をした巨大な石像で知られるモアイは、イースター島全体に約1,000体が点在している。その製作時期は13世紀から16世紀とされ、1体の重さは40キロから50トンにも及ぶという。
研究者たちを長年悩ませてきたのは、島民がどうやって火山の採石場から数十キロも離れた場所まで、これほどの巨石を運んだのかという点だった。先住民の間では古くから「モアイが自ら歩いて祭壇まで移動した」という伝説が語り継がれている。

今回の研究チームは、3Dモデリングと実地実験を組み合わせ、モアイが実際に「歩いた」ことを証明した。もちろん、モアイ像が自ら動いたわけではなく、人々が縄を使って歩くように揺らしながら前進させたのだ。研究チームは4.35トンのモアイ像の実物大レプリカを製作し、18人の参加者がわずか40分で100メートルの距離を移動させることに成功したという。
方法は意外にも単純である。モアイ像の頭部に3本の縄を結び、左右と後方から交互に引っ張ることで、像がよろめきながらも前進する仕組みだ。共同研究者のカール・リポ教授は「一度動き出すと驚くほど簡単で、エネルギー効率も高く非常にスムーズに進む」と説明した。さらに「幅約4.5メートルの道路には凹んだ断面があり、これは偶然ではない。モアイを安定して移動させるため、意図的に設計された構造だ」と指摘している。

イースター島は火山活動によって形成された面積約163.6平方キロメートルの島で、韓国・ソウル市のおよそ4分の1ほどの大きさである。南米チリの西方約3,500キロの太平洋上に位置し、世界で最も孤立した島の一つとされる。先住民の間では「ラパ・ヌイ」と呼ばれ、独自の文明を築いた。
イースター島が外の世界に知られるようになったのは1722年、オランダの探検家がイースター(復活祭)の日に上陸したことがきっかけだった。探検家らは島に数百体のモアイ像と1,500人から3,000人の住民が存在することを世界に初めて伝えた。その後、イースター島は栄華を誇ったラパ・ヌイ文明を後にし、数世紀を経て衰退の道をたどることとなった。
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