米・ピラミッド湖で“緑の渦” 衛星画像が捉える
アメリカの巨大湖で、濃い緑色の藻類ブルームが渦を巻く異様な光景が宇宙から観測され、関心を集めている。
科学専門メディアLive Scienceは、ネバダ州リノの北東に位置するピラミッド湖で確認された特異な水の色と、その背景にある要因について報じた。
ピラミッド湖は、面積約453平方キロメートルの大規模な湖で、最も広い部分は幅およそ43キロに達する。湖名は、南側の小島にそびえるピラミッド型の巨大岩に由来するという。

この湖は一つの川からのみ水が供給されているが、外海や他の河川へ流れ出す出口を持たない「閉鎖湖」だ。そのため、水分は時間とともに蒸発し、塩分だけが湖内に蓄積される。結果として塩分濃度は他の湖より高く、pHは約9の弱アルカリ性で、重曹水とほぼ同程度の性質を示すという。
今回公開された衛星写真には、2024年にピラミッド湖で藻類ブルームが最も激しく発生した際の様子が鮮明に記録されている。専門家の一部は、この藻類ブルームが少なくとも9000年前から湖に生息していた可能性があると指摘する。
同湖では毎年9〜10月ごろ、気温の上昇と栄養塩濃度の増加により藻類ブルームが発生する。NASA地球観測所によると、主に確認される藻類は「ノデュラリア・スプミゲナ(Nodularia spumigena)」で、高塩分環境で繁殖するシアノバクテリアの一種だ。
ノデュラリア・スプミゲナは肝臓に影響を与える毒素を生成することがあり、人や動物の健康に悪影響を及ぼす恐れがある。2024年には藻類ブルームが特に深刻化し、地元当局がペットを湖の近くに近づけないよう警告を出す事態となった。
ピラミッド湖は、かつて約2万1000平方キロメートルもの広さを誇り、現在の45倍に及ぶ巨大湖だった。アメリカ地質調査所(USGS)によれば、同湖は2万6000〜1万3000年前にラホンタン湖が縮小する過程で形成され、その際に湖周辺には石灰岩柱が林立する独特の地形も生まれたという。

1990年に発表された研究では、1972年から1986年の間にこの湖で連続で発生した15回のノデュラリア・スプミゲナ大量発生の傾向が分析された。研究チームは、このシアノバクテリアがかつて古代のラホンタン湖で大繁殖しており、その残存個体が現在もピラミッド湖で生き続けている可能性が高いと指摘している。
また、この湖には絶滅危惧種である吸盤魚の一種「クイウイ(Chasmistes cujus)」が生息している。この魚は世界中でピラミッド湖にしか存在せず、主にノデュラリア・スプミゲナのような藻類を餌としている。過去にはラホンタン湖にも生息していた可能性が高いとされている。













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