エチオピアのハイリ・グッビ火山が噴火
半径30km圏で9,000世帯が降灰被害
「最終氷期以降、噴火記録なし」極めて異例
エチオピア北部で、約1万2,000年間休眠していたハイリ・グッビ火山が噴火した。
24日(現地時間)、『ロイター通信』や『ガーディアン』、『AP通信』などによると、23日、首都アディスアベバから北東約800kmに位置するアファール地方のハイリ・グッビ火山が数時間にわたって火山灰と煙を噴き上げた。

今回の噴火で発生した火山灰の柱は最大で高度約14kmに達し、その後、火山灰は近隣の町アフデラを覆い、紅海を越えてイエメンやオマーン方面へと広がった。
火山は人里離れた地域にあるため、現時点で直接的な人的被害は確認されていないが、半径30km圏内の周辺集落約9,000世帯が降灰に覆われたという。
アフリカ北西部の有名観光地ダナキル砂漠を訪れていた観光客やガイドも、火山灰の影響で村に足止めされていると伝えられている。
地元住民は『AP通信』の取材に対し、「突然爆弾が爆発し、煙と灰が立ち上るような感覚だった」と述べ、「これまでに人や家畜への直接的な被害はないが、多くの村が灰に覆われ、家畜の餌がほとんどなくなった」と語った。
トゥールーズ火山灰情報センターによると、噴火によって発生した火山雲はイエメン、オマーン、パキスタン、インド方面へ移動したという。パキスタン気象庁は、同日夜、火山灰が自国の空域に進入したとして警報を発令した。

インドでは、火山灰がラージャスターン州、デリー、ハリヤーナー州、パンジャーブ州にまで拡散したことを受け、当局は航空各社に緊急対応を指示した。エア・インディアは国内線と国際線あわせて11便を欠航し、アカサ・エアもジッダ、クウェート、アブダビを結ぶ便は全面的に運休となった。
ハイリ・グッビ火山は、エチオピア東北部アファール地方に位置する標高約500mの火山で、首都アディスアベバから約800km離れている。
スミソニアン協会のプロジェクト「世界火山学プログラム(Global Volcanism Program)」によると、この火山は最終氷期の終結後、約1万1,200年前に始まり現在まで続く完新世において、噴火の記録は確認されていないという。
専門家らは今回の現象について極めて異例だと指摘し、当該地域における火山活動の研究不足を挙げている。ノースカロライナ州立大学の火山学者アリアナ・ソルダティ氏は、「マグマが形成される条件が残っている限り、火山は1万年間静穏であっても噴火する可能性がある」と説明した。














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