
中央アジアのキルギスで、中国国営企業に所属する労働者と現地労働者の間で物理的衝突が発生し、16人が逮捕された。キルギスでは総選挙を前に、反中感情が再び広がる兆しを見せている。
現地メディア『タイムズ・オブ・セントラルアジア(TCA)』によると、事件は15日、北部チュイ州コンスタンティノフカ村近くの道路工事現場で発生した。トラックの通行権を巡る些細な言い争いが、中国道路橋公社(CRBC)とキルギスの下請け業者の労働者間の集団乱闘に発展し、数十人が衝突に加わったという。
この過程で、キルギスの労働者1人が脳震盪を負い、病院で治療を受けている。現地警察は現場で16人を逮捕し、中国国籍者を含む44人を召喚して調査を進めている。
中国は現在、キルギスの最大の債権国で、全体の外債の40%以上を保有している。道路や鉱山、電力施設などのインフラプロジェクトに大規模な資金を投入し、影響力を拡大してきた。その結果、自国の労働者がエンジニアから単純労働者まで大量に投入され、現地では雇用機会の排除に対する不満が蓄積していた。
キルギスで中国人と現地住民の衝突は、今回が初めてではない。2011年には東部ナリン州で、中国企業の環境汚染問題を巡って住民と衝突が発生した。2019年には同地域の金鉱開発現場で、家畜の集団死をめぐり500人余りの住民が中国人労働者と対峙し、多数の負傷者が出たこともある。
ただし、キルギス政府は30日の総選挙を控え、事件の拡散を防ぐため鎮静化に乗り出している。
サディル・ジャパロフ大統領は現地メディアのインタビューで、「街中ではキルギス人同士でも争いが起こる日常的なことであり、これを外交的な対立と解釈してはならない」と述べた。さらに、「誰が扇動しているのか分かっている。今は見守っているが、線を越えれば逮捕する」と警告した。
ジェンベク・クルバエフ外相も、「中国人労働者はビザを取得して合法的に働いており、ビザが切れれば帰国する」と述べ、問題を過度に誇張しないよう呼びかけた。














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