中国人観光客、台湾人観光客に罵声
日本語で説明すると「人の言葉で話せ」と侮辱

羽田空港で、中国人観光客とみられる一行が台湾人観光客に罵声を浴びせる様子を収めた動画が、X(旧ツイッター)などで拡散している。台湾人に向けて「台湾は中国だ」と叫び、「一つの中国」を海外の場でも押しつけるような言動が、日本と台湾の利用者の反発を招いている。
台湾メディアなどによると、問題の動画は東京・羽田空港で撮影されたもので、X上で100万回以上閲覧された。映像では、中国人と推定される女性が向かいに立つ女性を指さしながら、「台湾は中国だ。海外に出たなら政治問題をはっきりさせろ」などと繰り返し怒鳴っていた。この女性は、ベンチに座っていた女性2人と男性1人と行動をともにしていたという。
相手側の女性が警察に日本語で状況を説明している最中、一行の別の女性が相手に向かって「くだらないことを言うな。人の言葉で話せ」などと強い口調で言い放つ場面も映っていた。さらに、一行の男性が相手側の男性をなだめるように肩に手を置いて話していると、別の女性が「黙っていろ」と制止する様子も確認できる。

警察官3人が仲裁に入った後に、一行は罵声をやめたとされる。動画が拡散したX上では、中国人観光客の振る舞いを批判する投稿が相次ぎ、元足立区議会議員の松丸誠氏も、この場面に触れて皮肉を交えた趣旨の投稿を行った。
投稿欄などでは「台湾が中国の一部だと主張するなら、なぜ大声で言い立てる必要があるのか」と疑問を呈する声や、日本語を侮辱するような発言をしながら訪日している点を問題視する声も出ている。また、台湾有事をめぐる高市早苗首相の発言などを受け、中国側が訪日自粛を促してきた経緯があるとして、それでも中国人観光客が来日していることに違和感を示す反応も見られた。
中国と台湾をめぐっては、1992年の協議を受けた枠組みとして、一つの中国原則を維持しつつ解釈や表現は双方がそれぞれの立場で行うとする考え方が「一中各表」として語られてきた。ただ、この枠組みの位置づけや意味合いは、中国と台湾、台湾内部の政党・政治勢力の間でも解釈が分かれ、両岸関係の複雑さを映し出す論点になっている。
中国は「一つの中国」原則を前面に出し、台湾を中国の一部だと主張している。こうした圧力の影響で、台湾は国際機関への参加が制限されたり、国際大会で正式名称や国旗の使用に制約を受けたりする状況が続いている。













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