
殺人罪で服役中のオーストラリア人受刑者が、受刑者に『ベジマイト』を提供しないという理由で訴訟を起こした。18日(現地時間)、『CNN』などの報道によると、受刑者のアンドレ マッケクニー氏(54)は、収容されているビクトリア州の刑務所を相手取り、オーストラリア人として自身の文化を楽しむ権利を侵害されたとして提訴した。
訴えの中心となったのは、豪州の国民的食品とされる『ベジマイト』である。『ベジマイト』は酵母抽出物を原料とした塩味の強いスプレッドで、オーストラリアではパンやクラッカーに薄く塗って食べる習慣がある。
マッケクニー氏は、被告側が人権法および責任法に基づく文化を享受する権利を侵害し、適切な食事を提供して受刑者の福祉を維持する義務を果たしていないと主張した。
『ベジマイト』は2006年以降、麻薬探知犬の捜索を妨げるとの理由でビクトリア州の刑務所への持ち込みが禁じられた。受刑者が違法薬物の匂いを隠すため、薬物の包装に『ベジマイト』を塗った事例があったためである。
また、『ベジマイト』に含まれる酵母成分も問題となった。同刑務所では、酵母を使用した受刑者によるアルコール密造を防ぐため、酵母の持ち込み自体が禁止されている。
この訴訟が伝えられると、犯罪被害者支援団体の弁護士ジョン ヘロン氏は、軽率な訴えで被害者遺族への侮辱であると批判した。ヘロン氏は2019年、公園での暴行事件により娘を亡くした遺族でもある。加害者は精神疾患を理由に無罪となった経緯がある。
ヘロン氏は、問題は『ベジマイト』かヌテラかという話ではない。私たちが経験した悲劇の中で、罪を犯していない人が享受すべき些細な権利であると述べた。
原告のマッケクニー氏は1994年、クイーンズランド州で不動産開発業者のオットー クイネ氏を刺殺した罪で無期懲役判決を受け、現在も服役中である。クイーンズランド州の刑務所からビクトリア州に移送されており、過去8年間の仮釈放期間中には、もう耐えられないと怒りを爆発させ再収監された経緯がある。













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