
中国が発表する経済統計への不信感が高まっている。過去に公開されていた電力消費量、鉄道貨物量、銀行貸出増加率など、中国経済の現状を把握できる指標がすべて消えてしまったためだ。米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は5日(現地時間)、「中国が門戸を開放して以来発表していた月次、四半期、年間統計が5月に完全に消失した」として、「統計資料失踪事件」を詳細に分析した。
WSJによると、ここ数年で土地売買指標、外国人投資データ、失業率指標、火葬関連データ、企業信頼指数が削除され、公式の醤油生産報告書さえもなくなったという。
同紙は、「かつて研究者や投資家が使用していた数百個ものデータポイントが非公開とされ、ほとんどの場合、公開中止や保留の理由が示されていない」と報じた。
WSJは、「こうした数値の欠落は、中国が過剰債務や不動産市場の崩壊などさまざまな問題で揺れる中、当局が状況を制御しようと必死になっていることを示している」と分析している。また、「パンデミックの影響や、米国との経済的デカップリング(分断)などで悪化した経済状況を隠蔽しようとしているのではないか」と指摘した。
中国国家統計局はここ数年間、都市部の失業率関連の一部数値の公開を中止した。匿名のユーザーが理由を問い合わせたが、統計局は「関連部門がデータ共有を中止した」と述べるにとどまった。
WSJは、「データの喪失により、重要な時期に中国で何が起きているのか把握しづらくなり、米中貿易戦争が中国経済に与えた影響も不明確になった」と伝えた。
中国の昨年の公式GDP成長率5%は、政府が前年に設定した目標値と正確に一致していた。
経済学者らは、非公式にこの数値の信憑性を疑問視しており、ある経済学者はWSJに対し、「当局がより低い数値を発表していれば、かえって信頼度が高まったであろう」と語った。
昨年12月、国有SDIC証券の経済学者ガオ・シャンウェン氏は、「ワシントンで開催された会議で中国の経済成長率は過去数年間で約2%程度だった」と推測し、「実際の成長率は正確にはわからない」と発言した。この発言後、彼は習近平国家主席から一定期間の公開発言禁止処分を受けた。