15.9 C
Tokyo
2025年05月13日火曜日
ホームニュース経済・株式関税・円高・中国デフレの三重苦...日本の製造業、純利益2年ぶり減少!EV・鉄鋼が足を引っ張る

関税・円高・中国デフレの三重苦…日本の製造業、純利益2年ぶり減少!EV・鉄鋼が足を引っ張る

引用:shutterstock
引用:shutterstock

日本の製造業の業績が低迷している。2025年3月期(2024年4月~2025年3月)の製造業の純利益合計は前年同期比2%減少し、2年ぶりに再び減少に転じた。米国と中国での販売不振が続く自動車業界と、中国発の「デフレ輸出」の影響を受けた鉄鋼業界が業績不振の主因とされる。

12日、日本経済新聞が東京証券取引所プライム市場上場の製造業約500社(子会社等の重複を除く)を集計した結果、業種別では自動車と鉄鋼の不振が顕著だった。自動車業界の純利益は20%以上減少した。米国市場での競争激化で販売インセンティブの負担が増大し、中国では現地の電気自動車(EV)メーカーの値下げ攻勢が激しさを増した。

トヨタ自動車は北米地域の一部車種のリコールの影響で生産量が減少した。中国では販売関連費用が増加し、純利益が4%減の4兆7,650億円となった。三菱自動車も北米での価格競争のためのインセンティブ支出が急増し、純利益が74%急減した。

鉄鋼業界も純利益が30%以上減少した。日本製鉄は36%、JFEホールディングスは53%の純利益減少を記録した。内需不振で供給過剰となった中国産鉄鋼材がアジアなど周辺地域に流入し、「デフレ輸出」現象が発生、これに伴う鉄鋼価格の下落が影響した。このほか、衛生陶器メーカーのTOTOも中国事業関連資産の減損処理により純利益が67%急減した。

一方、生成型人工知能(AI)関連産業は好調だった。特に電子機器業界の純利益が20%増加した。東京エレクトロンはAI駆動に必要な最先端半導体製造装置の需要増加により純利益が50%増加した。半導体関連銘柄のアドバンテストは純利益が2.6倍に急増。

AI投資の拡大は化学など他業種にもトリクルダウン効果をもたらした。信越化学工業は半導体ウエハーの需要好調がポリ塩化ビニル(PVC)の需要不振を相殺し増益した。積水化学工業は高機能プラスチック事業の成長により過去最高の純利益を記録した。

しかし、米国の関税強化と円高傾向は今後の業績に重荷となる見通しだ。2026年3月期(2025年4月~2026年3月)の業績は関税引き上げと為替の影響が重なり、さらなる純利益減少が予想される。日経は「米国への輸出比率が低く、関税の影響を直接受けない企業でも、世界経済の減速が現実化すれば業績悪化は避けられない」とし、「さらに円高が本格化すれば、輸出企業全般に二重の打撃となる可能性がある」と伝えた。

関連記事

コメントを書く

あなたのコメントを入力してください。
ここにあなたの名前を入力してください