
引用:QQ.com
中国で、歩いていた女性が通行人とぶつかり、その相手に股関節骨折の怪我を負わせたとして、7万元(約143万円)の賠償を命じられたことが明らかになり、SNSで責任の所在をめぐり議論が沸き起こっている。
16日(現地時間)サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)によると、事件は昨年5月、中国山東省青島市のあるマンション団地内で発生したという。被害者のリウ氏(59)は歩いている途中で、電話をかけるため突然立ち止まり、後ろを振り返った。ちょうどその時、後ろを歩いていたワン氏(29)がそれに気づかず、早歩きのままリウ氏と衝突し、リウ氏が転倒したのだ。
この事故により、リウ氏は股関節を骨折し「障害10級」と診断されたという。その後、医療費や介護費、障害補償金などを含む計18万8,000元(約370万円)をワン氏に請求し、訴訟を提起した。
これに対して、ワン氏は「前の人が急に止まらなければ衝突は起きなかった」と反論したという。裁判所は防犯カメラの映像などをもとに審理した結果、双方に責任があると判断したことが明らかになった。判決文では「被害者が道路の真ん中で突然立ち止まったのは不注意だった」としつつも「加害者も前方を十分に注意していなかった」と明記された。
最終的に、双方の話し合いの末、ワン氏は7万元を分割で支払うことで合意したという。
しかし、議論はこれで終わらなかった。当初、裁判所が「ワン氏が安全距離を保っていなかった」と指摘した点が物議を醸したのだ。中国の「道路交通安全法」によれば、「安全距離の維持」は車両にのみ適用され、歩行者間の距離については法的な規定が存在しない。
これについて、当裁判所の判断委員に所属するグオ氏は後に発言を訂正し「不正確な情報について、お詫び申し上げます」と謝罪したうえで、法教育・広報の質を向上させると約束した。
これに対し、あるネットユーザーは「十分なスペースがあれば、歩いたり列に並んだりする際に一定の距離を取るのが当然だ」と指摘した。また別のユーザーは「映像を見た限りでは、ぶつかった側(ワン氏)により責任があるように見える」とコメントしている。
一方で「裁判官が事件について公に発言をする際は、より慎重であるべきだ」として、今回の判決が及ぼす波紋に懸念を示す声もあがっているという。