
地球外生命体の手がかりが発見されたとするイギリスの天文学者の発表から約1カ月、米国の研究チームがこれに反論する形で「生命の兆候を確認することは難しい」との見解を示した。
4月、英ケンブリッジ大学天体物理学科のニク・マドゥスーダン教授の研究チームは、地球外惑星「K2-18b」で地球生命体の起源物質とされるジメチルスルフィド(DMS)およびジメチルジスルフィド(DMDS)の存在を示す信号を検出したと発表した。研究成果は先月17日、国際学術誌「The Astrophysical Journal Letters」に掲載された。
これに対し、米アリゾナ州立大学の研究チームは23日(現地時間)、「ニューヨーク・タイムズ」など複数の海外メディアを通じて、「英チームの主張を裏付ける説得力ある証拠は見つかっていない」との見解を示した。
2015年に発見されたK2-18bは、地球から124光年離れた場所に位置し、地球の約8倍の質量を持つ。マドゥスーダン教授らは、2023年にジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の近赤外線観測装置を使い、DMSやDMDSの信号を捉えたと主張していた。
一方、アリゾナ州立大学の博士研究員ルイス・ウェルバンクス氏らは、K2-18bで生成され得る90種類の分子を分析した。その結果、これらの分子は生命の存在なしに太陽光による化学反応のみでも生成され得ることを確認したという。
研究チームは、「英チームが捉えたとされるDMSやDMDSの信号は、90種類のうち59の分子によって説明可能であり、特にプロペンガスによる可能性が高い」と分析した。ただし、「K2-18bにプロペンガスが存在すると断定するわけではない」とし、「惑星の大気からのかすかなパターンだけでは、生命が存在すると判断するには不十分だ」と指摘した。
天文学界では、K2-18bに関する生命体存在をめぐる論争は今後数カ月で収束すると見られている。米航空宇宙局(NASA)ジェット推進研究所の研究者らが近赤外線による追加観測を進めており、新たな観測データによってK2-18bに対する混乱が解消される可能性があると期待されている。