
ドナルド・トランプ米大統領がイスラエルとイランに緊張緩和を促す内容の主要7カ国(G7)首脳共同声明に署名しないことを決定したと伝えられた。
米紙「ニューヨーク・タイムズ(NYT)」は16日(現地時間)、匿名を条件に ホワイトハウス当局者の話としてこれを報じた。
当局者はトランプ大統領が共同声明に署名しない理由には言及しなかった。ただし、共同声明には署名しないものの、トランプ大統領は依然としてイランの核兵器取得阻止に注力していると述べたとNYTは伝えている。
NYTが入手した共同声明文案には、13日のイスラエルによる奇襲攻撃で始まった戦争に深い懸念を表明し、両国に相互攻撃の停止を求める内容が盛り込まれていた。また、イランの核保有阻止の必要性を認識し、イスラエルの自衛権を支持する一方で、双方に緊張緩和を促す内容も明記されていた。
NYTによると、声明文案の骨子は、紛争解決の最善策は「外交」であるとし、戦闘を停止して交渉の場に着き、イランの核問題を解決するよう求めるものだった。匿名のG7当局者は、この文案はまだ最終決定されたものではないとし、カナダで開催中のG7首脳会議に出席している各国首脳が16日に続き17日も中東情勢について協議を続けると述べた。
ドイツのステファン・コルネリウス政府報道官は、米国がこの内容の共同声明に署名するかは不透明だとし、「中東に関するG7声明の発表は米国の判断次第だ」と述べた。
トランプ大統領は15日、G7首脳会議出席のため出発前にホワイトハウス 記者団と会見した際、イスラエルとイラン双方に交渉を促しつつも、「時には国同士が先に戦って解決しなければならないこともある」と発言していた。
イランの核開発放棄を目指し今年5回の交渉を行ったトランプ大統領は、「(停戦) 和解が実現することを望んでいる。交渉の時期が来たと思う」と述べた。同日公開されたABC放送のインタビューでは、米国が仲介に乗り出す可能性を示唆し、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が仲介役を務めることにも「前向きだ」と語った。