ビットコイン(BTC)の総発行上限は2,100万枚。長らく「理論上の希少資産」とされてきたが、現在ではその希少性が実際の価格要因として急浮上している。なぜなら、すでに供給の93%が採掘済みだからだ。

昨年4月に実施された4度目の半減期により、採掘報酬は1ブロックあたり3.125BTCにまで減少。1日あたりの新規発行枚数も約450BTCに抑えられた。加えて、保有者の多くが売却を避けており、市場の流動性は著しく低下している。
現在、ビットコイン全体の約70%が1年以上動いておらず、大部分はコールドウォレットや機関投資家に保管されている、あるいは失われたとみられている。この状況に、ETFや上場企業、政府系ファンドによる買いが加わり、取引所に流通するビットコインの量はますます希薄化している。
米ストラテジー社は、現時点で全供給量の2.75%に相当する58万BTC以上を保有。これは中国や米国の政府保有量を上回る水準だ。しかも、同社は毎月買い増しを続けており、供給ショックの引き金になる可能性もある。
ブラックロックの「iShares Bitcoin Trust」は、5月の1か月間で63億ドル(約9,150億4,331万円)超の純流入を記録した。ETF購入に伴い実物ビットコインがコールドストレージに移されるため、流通量はさらに圧縮されている。
一方、ビットコイン保有は一部に偏在している。上位100ウォレットで全体の15%、1万BTC超を保有するアドレスが14%を占めており、ビットコインの「非中央集権性」が崩れつつあるとの懸念も出ている。
今月初め、取引所に保管されていたBTCは全体の11%未満と、2018年以来の最低水準を記録。価格変動に対する耐性が弱まり、わずかな需給変化でも大きな価格上下が起きうる段階にある。
市場では「供給ショックはすでに進行中」とする声も。新たな需要の流入次第では、BTC価格が急騰する可能性もあり、投資家・規制当局・一般ユーザーは今後の動向に最大限の注意が必要だ。
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