
北大西洋条約機構(NATO)は25日(現地時間)、国防費を2035年までに国内総生産(GDP)の5%水準まで引き上げる方針で合意した。
現在はGDPの2%を国防費として支出することが求められている。
ドナルド・トランプ米大統領の強い圧力のもと、NATO加盟32カ国のうち31カ国が今後10年以内にGDP比5%まで引き上げることに同意した。
ただし、スペインはこの新たな防衛支出指針の受け入れを拒否した。
NATOはこの日、オランダ・ハーグで開かれた首脳会談の共同声明において、「深刻な安全保障上の脅威と課題に直面し、団結する」と表明し、特にロシアによる長期的な脅威やテロリズムの継続的な脅威を強調した。
ロシアのウクライナ侵攻については、2022年の首脳会談で「強く非難する」と明記されていたが、今回の声明では「ヨーロッパと大西洋の安全保障に対する長期的な脅威」と簡潔に言及されるにとどまった。
声明文では、「加盟国は毎年GDPの5%を主要な防衛需要、防衛産業、安全保障項目に支出することで合意した」とし、2035年までに目標を達成すると明記した。
この「GDPの5%」の内訳は、純粋な国防費に3.5%、残りの1.5%は安全保障や防衛関連のインフラ整備に充てられる予定だという。
NATOはこの合意を通じて、市民の危機対応力と社会の回復力を高め、革新と防衛産業基盤の強化を目指すとしている。
NATOは今回の合意により、各加盟国に対して、現実的かつ持続可能な予算増額計画を毎年提出するよう求めている。
さらにNATOは「集団的防衛への揺るぎない約束」を再確認した。NATO憲章第5条では、NATO加盟国のいずれかが攻撃を受けた場合、それはNATO全体に対する攻撃とみなすと定めている。
共同声明では、「我々は引き続き強固に団結し、10億人の市民を守り、同盟を防衛し、自由と民主主義を守る」と誓った。
マルク・ルッテNATO事務総長はこの日、新たな防衛費指針がNATOの集団防衛に「飛躍的な進展」をもたらすと述べ、歓迎の意を示した。
ルッテ事務総長は新指針が「我々の安全保障を強化するだけでなく、雇用創出にもつながる」とし、「NATO加盟国は深刻な脅威に対処するために重大な決断を下した」と語った。
トランプ大統領も今回の「GDP5%防衛費合意」を歴史的だと称賛した。
一方、5%ではなく「2.1%が適切」と主張するスペインに対して、トランプ氏は「相応の代償を払わせる」と警告した。
トランプ大統領は「スペイン経済は好調だが、外部の悪材料により、一瞬で崩壊する可能性がある」と述べた。
さらに、「防衛費5%合意に加わらなかったスペインには、米国との貿易交渉でその倍額を支払わせることになる」と警告した。
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