
米国と中国が関税戦争の「休戦」後に浮上した対立を解消する合意に署名したことが26日(現地時間)に明らかになった。
米国のドナルド・トランプ大統領はこの日、米ワシントンDCのホワイトハウスで、減税など自身の主要政策を反映した「大きく美しい1つの法案」の立法を促進するために開催した行事で、「我々は昨日、中国と署名を交わした」と述べた。
トランプ大統領が署名したと明かした米中間の合意は、米中間の超高率関税戦争を収束させた5月の第1回米中閣僚級協議(ジュネーブ)以降に浮上した「レアアース・半導体」などのサプライチェーンを巡る対立を解消した今月9~10日の第2回米中閣僚級協議(ロンドン)での合意事項を具体化したものだ。
ハワード・ラトニック米商務長官はブルームバーグとのインタビューで「中国と一昨日(24日)に署名した」と述べ、これは米中間の貿易対話で達成された合意を文書化したものだと説明した。
ラトニック長官は続けて「彼ら(中国)は我々にレアアースを供給することになる」とし、中国がレアアースを供給すれば「我々は対抗措置(半導体関連の一部輸出規制措置など)を撤回する」と述べた。
またホワイトハウス当局者はロイターに対し、「(トランプ)政権と中国はジュネーブ合意(5月の米中間の関税率引き下げに関する合意)の履行枠組みを確立するための追加合意に達した」とし、「その合意は中国の対米レアアース供給をどのように加速させるかに関するものだ」と明らかにした。
先月ジュネーブで行われた第1回米中閣僚級協議で両国は90日間、相手に課す関税率をそれぞれ115%ポイントずつ引き下げることで合意し、その結果、米国の対中関税率は30%、中国の対米関税率は10%に引き下げられた。
しかし、ジュネーブ合意以降、米中は中国の対米レアアース輸出規制維持、米国の対中半導体関連輸出規制強化と中国人留学生のビザ取消方針などを巡り合意違反を指摘し合うなど、対立が続いていた。
両国は意見調整のため今月上旬に英ロンドンで第2回米中閣僚級協議を開催し、中国の対米レアアース輸出再開、米国内の中国人留学生の滞在許可、米国の対中半導体および関連技術輸出規制緩和などを含む合意に達したとされる。
結局、トランプ大統領が「署名した」と明かした米中の合意には、ロンドンで両国が合意した事項が具体的に明記されたものと推測される。
さらに、トランプ大統領は「我々はいくつかの大規模な合意を進めている」とし、「今後の合意はおそらくインド市場を開放することで、非常に大きな合意をインドと結ぶことになるだろう」と述べた。
トランプ政権は現在、世界57の経済主体(56か国+EU)に差別的に課している相互関税の猶予期間満了(7月8日)を前に、各国と関税率、貿易均衡、非関税障壁撤廃などを巡って交渉を行っている。
トランプ大統領はすでに英国との合意を達成した後、有力な次の合意相手としてインドを挙げたとみられる。
これに関連し、ラトニック長官は米政府が設定した相互関税の猶予期間終了前の約2週間で各国と貿易合意を結ぶ準備ができているとし、「我々はトップ10の合意(Top 10 deals)を締結し、それらを分類して他の国々がそれに合わせるようにする」と述べた。ラトニック長官は、ただし優先的に合意を結ぶ10か国がどの国かは明らかにしなかった。
彼は続けて「合意に達した国々とは合意を結び、我々と交渉中の他のすべての国々は我々からの回答を受けた後、そのパッケージに参加することになる」と述べた。また「追加交渉を希望するのであれば、彼らには交渉する資格があるが、(米国が各国に通知する最終的な相互関税の)関税率は決定される」と付け加えた。
これに関連し、トランプ大統領は相互関税の猶予期間終了前に合意に至らなかった国々に対し、最終的な関税率など貿易条件を盛り込んだ書簡を送ると明らかにしている。
こうした中、ホワイトハウスのキャロライン・レビット報道官はこの日の記者会見で、相互関税の猶予期限延長の可能性について問われ、「おそらく延長される可能性がある」としつつ、「しかしそれは(トランプ)大統領が下す決定だ」と答えた。
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