
中国政府は、福島第一原子力発電所の処理水海洋放出後に中断していた日本産水産物の輸入を条件付きで再開することを決定した。ただし、福島や新潟など、処理水放出前から輸入が制限されていた10県の水産物は輸入再開の対象外となる。
中国税関総署は29日、公式サイトで「日本の福島原発処理水の海洋放出に関する国際社会の長期的なモニタリングと中国独自のサンプル採取及び監視結果に特異事項は見られなかった」と発表した。また、「日本政府が水産物の品質と安全を保証することを前提に、条件付きで日本の一部地域の水産物輸入再開を決定した」と明らかにした。
中国は日本産水産物の最大の輸入国だ。2023年8月に東京電力が福島第一原発の処理水放出を開始すると、即座に全面輸入禁止措置を講じた。その後、中国は国際原子力機関(IAEA)とは別に処理水サンプルの独自採取・検査を日本側に要求した。日本は昨年の9月、IAEA体制内で中国のサンプル採取参加を認めた。
同月、両国は中国の独自的な安全検査と国際モニタリングへの参加などを条件に、日本産水産物の輸入を段階的に再開することで合意した。当時、中国は日本産水産物が安全基準を満たすことが確認された場合、段階的に輸入を再開する方針に同意していた。
これを受け、中国の国家原子力機構(CAEA)は昨年の10月、福島原発の排出口付近の海域で初めて海水サンプルを採取・分析し、今年1月に「異常なし」との結果を発表した。続く4月の第2回サンプル検査結果でも、トリチウム、セシウム134、セシウム137、ストロンチウム90などの放射性核種の濃度に異常はないと結論づけた。
今回の中国の条件付き輸入再開決定を受け、同様の措置を取っている韓国など周辺国の対応にも注目が集まっている。林芳正官房長官は先月の定例記者会見で「香港、韓国など周辺国に対しても輸入規制の撤廃を求めていく」と述べている。
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