
ドナルド・トランプ米大統領が、不法移民の強制送還を強化する一方で、特定の業種に従事する移民に対し、期間限定で就労を認める制度の導入を検討していることが明らかになった。
29日(現地時間)、フォックス・ニュースのインタビューで、トランプ大統領は「特定産業の従事者向けに一時的な就労許可制度を検討している」と述べ、農業分野など一部産業での不法移民の取り締まり政策が変更される可能性を示唆した。
このインタビューは27日に収録されたもので、トランプ大統領は「納税している農業従事者のために何らかの一時許可制度を準備している」とし、「15~20年働いても、違法に入国したまま雇用主の管理下で自由を奪われている善良な人々」の存在に言及した。
また、トランプ大統領は、過酷な労働環境で他者が敬遠する仕事を長年こなしてきた農業労働者が摘発の対象になることで、農場経営に打撃を与える点も問題視した。
フォックス・ニュースは「今回の発言で、農業に従事する不法移民に対する政策転換が示された」と報じたが、ホワイトハウスはこの発言に関するコメントを控えている。
トランプ大統領は今年4月にも、農業やホテル業などに従事する不法移民が一度出国した後に合法的な形で再入国し、就労できる制度を検討する考えを示していた。
ホワイトハウスも当時、雇用主が一時的に移民労働者を雇用するための「H-2A」「H-2B」ビザ制度の見直しを進めていると明らかにしていた。
さらに今月に入り、ホワイトハウスは一部の特定産業における不法移民の取り締まりを一時的に停止する措置を取っている。
トランプ大統領は今月12日、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で、「農業、ホテル、レジャー、外食産業では労働力の代替が難しい。不法移民への取り締まりは見直す必要がある。われわれは農民を守らなければならない。変化が訪れる」と投稿していた。
なお、一部業種で不法滞在者の取り締まりが再開されたことについて、米国土安全保障省の報道官トリシャ・マクロフリン氏は、「暴力犯罪者や移民・関税執行局(ICE)の業務を意図的に妨害する者には、安全な逃げ場はない」というトランプ大統領の方針を強調している。
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