
脚にできた謎の塊。人々は目を背け、病院は治療することを拒否した。それでも、彼は諦めず、ついに自分の体を取り戻した。
3日付のイギリスメディア「デイリー・メール」によると、インド・ウッタルプラデーシュ州出身のモハメド・サルマンさん(27)は、過去6年間、太ももにできた巨大な腫瘍と共に生きてきたという。2019年に軟骨肉腫と診断されたが、痛みもほとんどなく、腫瘍もゆっくりと大きくなっていったため、そのまま我慢して生活し続けていた。
だが、ここ半年で状況は一変した。
腫瘍は突如として急激に肥大し、その重さはなんと35kgに達した。まるで8歳の子供が脚にぶら下がっているかのようだった。
歩くことすらできなくなったサルマンさんは病院を訪れた。しかし、デリーやウッタルプラデーシュ州の医師たちは皆、口を揃えて「危険すぎる」「治療は不可能だ」と言い、治療に乗り出そうとはしなかったという。
そんな中、AIIMSリシケーシュ病院の整形外科専門医モヒト・ディングラ医師が現れた。
先月9日、6時間に及ぶ手術が行われた。
医療チームは血管造影やMRIを駆使して、細心の注意を払って腫瘍の除去に挑んだ。腫瘍に少しでも誤って触れた場合、大量出血で命を落とす恐れもあったからだ。しかし、ディングラ医師のチームは諦めなかった。
そして結果は成功。腫瘍は、合併症ひとつなく完全に除去することができたという。
ディングラ医師は「これまでの中で最も複雑かつ危険な手術だった」と語った。また、病院側も「希少がん手術の新たな基準を打ち立てた瞬間だ」とし、今回のケースを「医学的な突破口となる症例」と評価したという。
現在、サルマンさんは病院で回復中だと伝えられている。
「腫瘍を取り除いたことよりも、自分の人生を取り戻せたことが信じられない」と彼は語った。
これまで世界で報告された最も重い腫瘍は、1906年にアメリカの女性から摘出された卵巣腫瘍で、その重さは148キロに及んだという。
2022年にはブラジルで45kgの腫瘍が手術で取り除かれた例もある。しかし、今回の手術は単なる記録更新ではなく、一人の人間の忍耐と医学の執念が生んだ成果として長く記憶されるだろう。
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