ペルー大統領、支持率わずか2%でも月給2.2倍引き上げ 国民から怒りの声
ペルーのディナ・ボルアルテ大統領(63)が、自身の月給を2.2倍に引き上げる決定を下し、国民の強い反発を招いている。
特に、支持率がわずか2%にとどまる中での今回の決定は、政権の危機をさらに悪化させるとの見方が強い。

『AFP通信』などによれば、ペルー政府は今月2日(現地時間)、日刊紙『エル・ペルアノ』を通じて、大統領の給与引き上げを含む大統領令を正式に発表した。
この法令は4日から施行され、ボルアルテ大統領の月給は既存の1万6,000ソル(約66万円)から3万5,568ソル(約145万円)に増額された。これは、同国の最低賃金1,025ソル(約4万2,000円)の35倍に相当する。
政府の釈明と国民の反発
ラウル・ペレス・レジェス経済財務相は記者会見で、「今回の引き上げは、昨年11月に施行された予算法および公務員法に基づく措置だ」と説明した。
政府側はまた、「大統領の給与は南米諸国の中でもボリビアを除いて最も低く、数年間凍結されたままであり、閣僚の平均給与の半分にすぎなかった」として、今回の措置を正当化しようとした。
だが現地メディアは、この大統領令が関連閣議の議事録を非公開にして処理された点に注目し、透明性が著しく欠けていると厳しく批判している。
国民の間でも、厳しい経済状況の中で行われた今回の増額が「現実離れしている」として、不満の声が急速に広がっている。
世論調査会社イプソスが5月に実施した調査では、全国の18歳以上1,207人のうち、ボルアルテ大統領の政権運営を支持すると答えた人はわずか2%にとどまった。これは同国で過去最低の数字であり、大統領の統治能力に対する信頼がほぼ消えかけている状況を反映している。
政治的危機の加速懸念
ボルアルテ大統領は、いわゆる「ロレックスゲート」と呼ばれる高級腕時計の不正取得疑惑や、極秘の鼻整形手術疑惑などにより信頼度を大きく損なっている。

さらに深刻なのは、2022年12月から2023年1月にかけて行われた弾劾反対デモにおいて、軍と警察に強硬な鎮圧を命じたことで、数十名の死者が出た件について現在も捜査が進行中である点だ。
ボルアルテ大統領は2022年12月、ペドロ・カスティジョ前大統領の弾劾を受け、副大統領から昇格する形で大統領職に就任した。任期は来年7月までとされている。
次期大統領選挙は来年4月12日に実施予定となっている。
ペルーの政治アナリストたちは、「国民の支持を完全に失った状態で、報酬引き上げを強行するのは政治的自殺行為に等しい」と厳しく指摘しており、「この決定はペルーの政治的不安定をさらに深刻化させる可能性が高い」と警鐘を鳴らしている。
注目の記事