テスラのイーロン・マスク(Elon Musk)CEOが、アメリカの二大政党制に対抗する新党「アメリカ党(America Party)」の創設を正式に発表した。
マスクは、現在の政治体制について「腐敗と無駄に満ちている」と痛烈に批判し、実質的な変革のためには新たな選択肢が必要だと訴えた。

この発表は、5日にX(旧Twitter)上で実施された世論調査の結果を受けたもの。調査では、新党創設への支持が既存体制の支持を大きく上回り、2倍以上に達したという。
マスクは「米国にはもはや真の民主主義は存在しない」と述べ、共和党と民主党が実質的に同一の勢力として行動しており、国民の声が政治に反映されていないと指摘した。
彼は「アメリカ党」を通じて、この構造的な問題を打破し、市民が再び権利を取り戻すための道を切り拓くと強調した。
マスクは、米国独立記念日(7月4日)を前に、政治的自由について議論すべき時が来たと述べていた。今回の発表は、その考えを実行に移した形となる。
また彼は、「アメリカ党」が既得権層の支配から脱却し、一般市民により多くの選択肢を与える政党になると主張している。
ただし、現時点では具体的な政策ビジョンや候補者の指名、資金計画などは一切明かされていない。
マスクはこの政治的動きについて明確なロードマップを示していないが、彼の莫大な資金力と「X」という巨大な発信プラットフォームを考慮すれば、将来的に政界進出を果たす可能性も排除できない。
仮想通貨系メディア『コインゲイプ』によると、この発表を受け、Xユーザーの間では賛否が分かれている。
一部では、政治的独占を破る「転機」だとして歓迎する声が上がる一方、また一人の大富豪が政治に介入することに対して懸念を示す声もある。
マスクはこれまでも、政府の財政支出や過剰な規制、「ポリティカル・コレクトネス(政治的正しさ)」に対して批判的な姿勢を一貫して取ってきた。
彼の事業活動も常に政治と密接な関係を持っていた。テスラ、スペースX、そしてXに至るまで、マスクの企業は常に政治の議論の渦中にあった。
しかし今回の動きは、単なる発言や影響力の行使ではなく、直接的に政治勢力を形成するという、かつてない一歩であり、波紋は大きい。
アメリカで新党を立ち上げ、全国規模の選挙に参加するには、州ごとの投票用紙登録など、煩雑かつ時間を要する法的手続きを乗り越える必要がある。
とはいえ、マスクはすでに膨大な資金とフォロワーを持つ存在であり、実行力という観点では極めて有利な立場にあると言える。
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