暗号資産「パイコイン(Pi Coin)」の価格が、重要な支持線を割り込むリスクに直面している。7月中に予定されている過去最大規模のトークン解除が、さらなる下落の「導火線」になるとの懸念が強まっている。

8日午後5時(日本時間)時点で、パイコインは前日比2.28%安の0.4566ドル(約67円)で推移。これは昨年2月につけた史上最安値2.98ドル(約438円)から実に約85%の下落となる。
現在の弱含みな相場は、急増するトークン流通量と無縁ではない。
パイネットワークは7月中に2億7,200万枚(約1億600万ドル・約156億円相当)のトークンを市場に解除する予定で、これは2027年12月までの計画の中でも最大の供給量となる。この後も、8月〜10月にかけて継続的に解除が行われ、12月にはさらに4億7,200万枚のトークン放出が控えている。
これらは、Pi Foundationが保有するトークンを市場へ放出することにより供給量を大幅に増加させる措置だ。しかし、需要が鈍化する中での大量放出は、価格に対する下落圧力を強める。実際、直近2カ月にわたって投資家の買いが鈍く、価格も下げ基調をたどっている。
パイコインの最大発行上限は1,000億枚だが、現在の流通量は76億枚。すなわち、9割以上の未流通トークンが控えていることになり、これは中長期的にも価格の重荷となりかねない。
テクニカルチャートでは現在、0.40ドル(約59円)付近でダブルボトム(Wボトム)が形成されており、反発の兆しもわずかに残る。ネックラインは1.6466ドル(約243円)で、このラインを上抜ければ一定のリバウンドが見込まれる。
しかし、短期・中期の移動平均線をいずれも下回っており、上値抵抗は依然として強い状態。万が一、0.40ドルの支持線を割った場合には0.0062ドル(約0.9円)まで下落するリスクも視野に入る。
一方で、先月25日に記録した0.6642ドル(約97円)の直近高値を明確に突破できれば、1ドル(約147円)台への回復も可能との見方がある。
パイネットワークは最近、「AIスタジオ(Pi Network AI Studio)」の発表や、1億ドル(約147億円)規模のエコシステムファンド設立などポジティブな材料も出しているが、今のところそれらの「好材料」は供給懸念にかき消されている状況だ。
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