
米連邦準備制度理事会(FRB)が6月17〜18日に開いたFOMC(連邦公開市場委員会)の議事録が9日に公開され、利下げを支持する意見が依然として少数派にとどまっていることが判明した。たとえ利下げが実施されるとしても、その幅は市場が期待するほど大きくない可能性が高い。
5月時点では、トランプ政権による100%超の相互関税強行姿勢がFRB内部で懸念されていた。しかし、中国との2度にわたる高官級交渉で、関税を90日間猶予することで合意したことから、関税リスクが緩和されたとの認識で一致した。
だが、政策判断の根底にあるインフレへの警戒心は依然として強い。議事録では、「一部の参加者は関税による物価上昇は一時的で、長期的なインフレ期待には影響しないと見ている」としつつも、「多数の参加者は、関税がより持続的な物価上昇を引き起こすリスクがある」と記されている。
結局、FRB内部でも最大の論点は、関税が一過性のショックにとどまるのか、それとも根強いインフレ圧力につながるかという点にある。6月会合では後者の見方が優勢だった。
一方で、「一部の参加者」は次回7月の会合で利下げの可能性に言及しており、ミシェル・ボウマン副議長とクリストファー・ウォラー理事がその中心とみられている。両者はかねてから早期利下げを公言してきた人物だ。
ドナルド・トランプ大統領は一貫して「金利が高すぎる」とFRBに圧力をかけており、この日もSNS「トゥルースソーシャル」で「現在の金利は少なくとも3%ポイント高い」と不満をあらわにした。以前の主張は2%ポイントだったが、利下げ要求のトーンは徐々に強まっている。さらに「金利を下げる人物こそが議長にふさわしい」とし、現FRBの政策スタンスに露骨な不満をぶつけた。利下げが実現しなければ、米国は年間で3,600億ドル(約52.6兆円)の借換コストを払うことになるという主張も添えた。
金融市場は現在、来週発表されるインフレ指標に神経をとがらせている。関税の直接的な影響がまだ表面化していないことから株式市場は堅調だが、経済の減速懸念も根強い。FRBの今後の対応は、数週間の経済データによって大きく左右されそうだ。
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