
米国の半導体大手エヌビディア(NVIDIA)が、時価総額4兆ドル(約589兆円)台という前例のない規模に到達し、企業価値をさらに拡大させている。現在、世界で唯一この水準に達しているAI関連企業として、その存在感を一段と強めている。
11日(現地時間)のニューヨーク証券取引所では、同社株は前日比0.50%高の164.92ドル(約2万4,284円)で取引を終えた。これで4営業日連続の上昇となり、時価総額は4兆220億ドル(約592兆円)に達した。この日は一時167.89ドル(約2万4,722円)まで上昇する場面もあり、株価は連日の高値更新が続いている。
背景には、中国市場への再進出に対する期待感がある。英紙『フィナンシャル・タイムズ』によれば、エヌビディアは今年9月に中国専用のAIチップを投入する予定で、ジェンスン・フアンCEOは来週中国を訪れ、現地でのサービス継続を宣言する見通しだ。現在、米政府の規制により「H20」チップの輸出が停止されており、同社はこの影響で第2四半期(5~7月)に80億ドル(約1兆1,783億円)規模の売上減を見込んでいる。
注目すべきは、フアンCEOがこのタイミングで大規模な株式売却を実施している点だ。米証券取引委員会(SEC)への報告によれば、7月に入ってから22万5,000株を売却し、売却額は3,640万ドル(約54億円)に上った。年末までに600万株を売却する計画の一部とされており、先月も1,500万ドル(約22億円)相当の売却を行っていた。
フアンCEOは、前日にホワイトハウスを訪問し、ドナルド・トランプ米大統領と面会したことも明らかになっている。今年1月以来となるこの会談では、公式な議題は公表されていないが、来週に控える中国訪問や米中間の技術摩擦が背景にあるとの見方が広がっている。
『ブルームバーグ』の億万長者指数によると、今回の売却にもかかわらず、フアンCEOの純資産は株価上昇により1,437億ドル(約21兆円)に達し、9位のウォーレン・バフェット(1,440億ドル)とほぼ肩を並べる水準となった。経済誌『フォーチュン』の試算では、バフェットの資産をすでに上回ったとの見方も出ている。
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