
欧州連合(EU)のカヤ・カラス外交安全保障上級代表が、米国によるウクライナへの武器支援に対して「費用を分担すべき」と苦言を呈した。
15日(現地時間)、カラス代表はブリュッセルで記者団に対し、「武器の費用を我々が払うなら、それは欧州による支援だ。全ての国が同じように貢献してほしい」と語り、米国に対して公然と不満を表した。
さらに、「武器を供与すると言っておきながら、費用は他人任せ。それでは本当の意味での支援とは言えない」と指摘。負担の不公平さを明確に問題視した。
カラス代表の主張に呼応するように、今年下半期のEU議長国デンマークのラース・ルッケ・ラスムセン外相も、「ウクライナに必要な武器と弾薬を購入させるため、多額の資金を支出している。しかし戦争を止めたいなら、すべてのパートナーが本当に貢献している姿を見たい」と発言。欧州全体で、費用面での米国との「温度差」が露わになっている。
この一連の発言の背景には、14日に発表されたトランプ米大統領のウクライナ支援方針がある。トランプ大統領はホワイトハウスでNATOのイエンス・ストルテンベルグ事務総長と会談後、「米国はNATOに武器を販売し、費用はNATOが支払う。米国は一切支払わない」と明言した。
つまり、アメリカは武器を供与する「形」は取るが、費用はNATO(=主に欧州)が負担するという「押し付け」構図が出来上がっているわけだ。
トランプ政権はこれまでウクライナ支援に消極的とされてきたが、今回の決定は一見すると前向きな政策転換に見える。だが実際には、費用の「肩代わり」という新たな負担が欧州諸国にのしかかっている。DW(ドイチェ・ヴェレ)の政策アナリスト、トリ・タウシット氏は「EU側は一時的に安心しているように見えるが、トランプの姿勢が本当に変わったのか判断するのは時期尚早」とコメントしている。
注目の記事