
英国政府は、次期総選挙から選挙権年齢を16歳に引き下げる方針を発表した。
スコットランド議会選挙とウェールズのセネドでは既に16歳以上に投票権が認められている。一方、英国議会選挙、イングランド地方選挙、北アイルランドの全選挙では18歳以上が有権者とされてきた。
BBCは16日、英国全体での投票年齢の引き下げは、1969年に21歳から18歳へと改定されて以来、最大級の制度改革になると報じた。2024年の総選挙で勝利した労働党は、投票年齢16歳への引き下げを選挙公約に掲げていた。
政府は、2029年に予定される次期総選挙から16歳と17歳が投票可能となり、状況によってはそれ以前に前倒しされる可能性もあると発表した。
アンジェラ・レイナー副首相はBBCのインタビューで「16歳で母親になった。働き、税金を納めることができるなら、投票権も与えるべきだ」と述べた。
保守党の内閣大臣ポール・ホームズ氏は下院で「政府は16歳に投票を認めながら、宝くじ購入、飲酒、結婚、従軍、選挙への立候補は認めないのか」と批判した。投票年齢引き下げに反対する人々は、若者が左派政党に投票する傾向が強く、労働党に有利に働くと主張している。
BBCは、世論調査によれば労働党の若年層支持票は緑の党、自由民主党、改革党の影響で減少する可能性があると報じている。英国の16~17歳は16歳以上人口の約3%に過ぎず、研究者らは全体の投票結果への影響は限定的だと見ている。若年層の投票率が低いことも影響を限定的にしている要因の一つとされる。
政府は、労働党に有利になることを目的とした変更だという批判を退けた。レイナー副首相は「特定の政党のためではなく、民主主義のため、若者に発言の機会を与えるためのものだ」と述べた。ガーディアン紙は、英国が世界で最も若年の有権者を持つ国の一つになったと伝えた。
欧州では、オーストリア、マルタ、チャンネル諸島のジャージーのみが16歳の投票年齢を採用している。その他、ブラジル、アルゼンチン、エクアドル、キューバ、ニカラグアなども選挙年齢を16歳としている。
英国政府は、次回総選挙から有権者身分証明書として英国で発行された銀行カードも認めることを決定した。選挙管理委員会によると、2024年の総選挙で投票しなかった人の約4%が、有権者身分証明書の規定を理由に投票を見送ったと回答している。
保守党は、銀行カードを有権者身分証明書として認めることは「投票の安全性を損なう可能性がある」と主張している。
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