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2025年07月22日火曜日
ホームニュース【逆効果か】トランプのパウエル議長解任で長期金利上昇リスク…FRB介入に市場も警戒、専門家が警鐘

【逆効果か】トランプのパウエル議長解任で長期金利上昇リスク…FRB介入に市場も警戒、専門家が警鐘

引用:depositphotos*この画像は記事の内容と一切関係ありません
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米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げを望むトランプ大統領がパウエルFRB議長を解任した場合、金利はどうなるのか。

トランプ大統領は現地時間16日、オンラインメディア「リアル・アメリカズ・ボイス」とのインタビューで、「パウエル議長が任期満了(来年5月)前に辞任すると思うか」との質問に「私が彼を解任すれば市場が混乱すると言う人もいる。しかし、彼がFRBで行っている『詐欺(fraud)』のため、多くの人は彼を解任すべきだと言っている」と答えた。

ここでの「詐欺」とは、パウエル議長在任中のFRB本社改修を指す。

「ニューヨーク・タイムズ(NYT)」は17日、専門家の見解を引用し、「仮にトランプがパウエル議長の解任に成功しても、逆効果をもたらす可能性がある」と報じた。

金利を決定するのはFRBではなく投資家であり、中央銀行の独立性に疑問が生じれば、投資家はより高い利回りを要求する可能性があるという論理だ。

新議長がFRB理事を説得して短期金利を引き下げることは可能だが、長期金利は別だという。

長期金利、特に米国債の10年物と30年物の金利が重要だ。これらの金利が住宅ローン、自動車ローン、企業の信用貸付の基準となる。

FRBの金利決定は長期金利に影響を与えるが、実際の長期金利は国債を売買する投資家によって決まる。

経済学者らは、FRB議長解任の過程で中央銀行の独立性が損なわれれば、長期金利の上昇につながる可能性があると見ている。

ジョージ・W・ブッシュ元政権の経済顧問を務めたコロンビア大学のグレン・ハバード教授(経済学)は「唯一の目標が借入コストを下げることなら、私はそうしない。効果がないからだ」と述べた。

NYTは長期金利を上昇させる要因を二つ挙げた。

第一はインフレだ。

トランプ大統領がFRBの金利政策に直接関与しようとすれば、債券投資家は今後数年間インフレが進むと懸念し、そのリスクに見合うよう高い金利を求める可能性がある。

中央銀行の独立性は、政府が短期的に苦しむことになってもインフレに対抗できるようにするための仕組みだ。

元FRBエコノミストで、ピーターソン国際経済研究所(PIIE)のジョセフ・ギャニオン研究員は「FRBの信頼性と独立性は、コロナ禍後のインフレ抑制に決定的な役割を果たした」と述べた。

FRBは急激なインフレを抑えるため、ここ数十年で最も高い水準まで金利を急速に引き上げた。

FRBの独立性が弱まれば、投資家はFRBがインフレ抑制のために高金利を維持するような不人気な決定を進んで行うという信頼を失う可能性がある。

これは投資家に将来のインフレがさらに高まるという予想を抱かせ、その分より高い金利を要求することにつながるという説明だ。

第二の理由は連邦政府の債務水準だ。

トランプ大統領は政策金利が1%未満であるべきだと主張した。1%ポイントで3,600億ドル(約53兆5,523億6,300万円)のコスト(国債利払い)がかかるとし、高すぎると強調した。

FRBが納税者に「数兆ドルの利払いコスト」を負わせているというトランプ大統領の発言について、NYTは「FRBの役割を政府の債務返済支援と解釈できる」と分析した。

また、この認識は政府の追加借入を正当化する可能性があると指摘した。

しかし、ほとんどの経済学者は政府がすでに持続不可能な財政路線に入っており、特に最近トランプ大統領が署名した減税法案がその一因だと見ている。

オバマ政権の経済顧問を務めたハーバード大学のジェイソン・ファーマン教授(経済学)は「金利を下げて債務を減らし、減税などをより容易にするという目標は中央銀行が持つべきではない非常に危険で恐ろしい発想だ」とし、「その道を選んだ中央銀行は例外なく非常に悪い結果に終わった」と述べた。

FRBの専門家であるジョージ・ワシントン大学のタラ・シンクレア教授(経済学)は「政府が借金を返済できないかもしれないと信じられれば、投資家はそのリスクの見返りとしてより高い利回りを要求するだろう」と指摘した。

以前から長期国債金利は上昇傾向を示しており、これは投資家の懸念が高まっている兆候だと彼女は述べた。

オバマ政権時代に財務省で働いたハーバード大学のカレン・ダイナン教授(経済学)は「数年前の深刻なインフレの影響で、人々のインフレに対する見通しが安定せず、変動しやすくなっている」とし、「さらに政府の債務が非常に大きいため、政治家が金融政策に介入して、その負担を軽減しようとする動機がはるかに大きくなった」と分析している。

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