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【未来都市に暗雲】財政状況悪化で”サウジ・ビジョン2030″に黄信号、一部予算60%削減

有馬侑之介 アクセス  

5,000億ドル(約73兆7,162億円)規模の超大型未来型都市開発プロジェクトとして注目を集めてきたサウジアラビアの「ザ・ライン(The Line)」計画が、見直しの対象となっていると報じられた。

引用:アジア経済
引用:アジア経済

19日(現地時間)、米経済メディアCNBCは、サウジアラビアの政府系ファンドである公共投資基金(PIF)が、同国北西部のネオム(NEOM)地域に建設中の全長170キロメートルの直線型都市「ザ・ライン(The Line)」プロジェクトの妥当性を評価するため、複数のコンサルティング会社に対し戦略的な見直しを依頼したと報じた。

同日、ブルームバーグも「最近の国際原油価格の下落や財政赤字の拡大など、サウジアラビアの財政状況が悪化する中での再検討であることから、その結果に注目が集まっている」と伝えた。

CNBCによると、プロジェクト関係者は「現在、ネオム全体で人員削減が進められており、予算や実施方針においても、より現実的な判断がなされている」と述べた。ただし、見直しの具体的な範囲については明らかにされていない。

アラブ通貨基金のティム・カレン研究員はCNBCのインタビューで、「技術的な実現可能性、開発コスト、経済的波及効果などが主な評価対象となるだろう」とした上で、「ネオムが構想するレベルまで技術が本当に進展しているのか、開発コストが過度に高騰していないかといった疑問は以前から指摘されてきた。最近の原油価格の下落によって、こうした問題が一層浮き彫りになっている」と語った。

2022年には1バレルあたり平均100ドル(約1万4,800円)に迫っていた国際原油価格は、現在は70ドル(約1万346円)台前半まで下落しており、サウジアラビアの財政均衡点を下回る水準が続いている。そのため、抜本的な事業の再構成が避けられないとの見方が広がっている。

カレン研究員は「ネオムシティ・プロジェクトが完全に中止されることはないだろうが、当初の計画より縮小されたり、実施期間が延びたりする可能性が高い」との見解を示した。

英国フィナンシャル・タイムズ傘下の投資専門メディア「fDiインテリジェンス」によれば、PIFは今年、ネオムシティを含む一部プロジェクトの予算を最大60%削減したという。

サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子が主導する国家改革構想「サウジ・ビジョン2030」の中核事業の一つであるネオムシティは、同国北西部の紅海沿岸に位置する2万6,500平方キロメートル(東京都の約12倍)の土地を、低炭素のスマートシティとして開発する計画である。

170キロにおよぶ直線都市「ザ・ライン」、海上先端産業団地「オクサゴン」、山岳観光地「トロジェナ」の3大プロジェクトで構成されており、総事業費は1兆ドル(約147兆4,050億円)に達する。

一部では、ネオムシティ計画に対する過度な楽観主義や、組織内部の「イエスマン」文化が問題視されている。元サウジアメリカ商工会議所会頭のタリク・ソロモン氏はメディアに対し、「これほどの規模の事業には、市場の現実に基づく調整と信頼の構築が不可欠だ」と指摘した。

一方、ネオム側は今回の報道について「長期的なメガプロジェクトにおいて、戦略的な見直しは一般的な手続きである」と述べ、懸念を一蹴した。

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