
家庭の食卓に欠かせない夏野菜「オクラ」に、体脂肪の減少や血糖値の調整といった代謝改善効果があることが確認され、健康食品としての価値が改めて注目を集めている。
英紙『デイリー・メール』の報道によると、ブラジルの研究チームが行った動物実験で、オクラを与えられたマウスは通常の餌を摂取したマウスに比べて体脂肪の蓄積率が著しく低かった。さらに血糖値やコレステロール濃度も安定し、肝臓および脳の炎症反応が明らかに抑制されたという。特に脳の視床下部の炎症が軽減され、インスリン感受性の回復が確認されたことで、代謝疾患の改善につながる可能性が示された。
研究を主導したセリン・クラズナ博士は、オクラに含まれるカテキンやケルセチンなどの抗酸化成分がこの効果に深く関与していると説明。これらの成分は緑茶でも含まれ、炎症の抑制や細胞保護、代謝機能の正常化に作用する。さらに、豊富な水溶性食物繊維が糖の吸収を遅らせ、血糖値の急上昇を防ぐ働きもあるとした。
オクラは「ネバネバ食品」として親しまれており、その粘り気のある成分は腸内環境の改善や便通促進にも効果があるとされる。100gあたり30kcalと低カロリーでありながら、ビタミンK、ビタミンC、葉酸といった栄養素を豊富に含み、栄養密度の高い食材としても評価が高い。
栄養学の専門家は、「欧米化した食生活の中で代謝系疾患が増える傾向にある今、オクラのような機能性野菜を積極的に摂取することが予防につながる」とコメントしている。
茹でたオクラを鰹節と醤油で和えるシンプルなおかずが定番で、納豆やマグロと合わせて丼にする食べ方も人気。そのほか天ぷら、炒め物、サラダなど幅広く活用されている。購入時は鮮やかな緑色でうぶ毛がしっかり残っているものが新鮮とされる。
この研究成果は、国際学術誌『ブレイン・リサーチ』に掲載された。
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