
米電気自動車メーカー・テスラの「最大の資産」と称されるイーロン・マスクCEOへの評価に、かつてのような輝きが見られなくなっている。
テスラの革新性を象徴し、未来ビジョンそのものとされてきたマスク氏に対し、投資家たちが次第に背を向けつつあるとのこと。
昨年の米大統領選への関与や、ドナルド・トランプ米大統領の再選を後押ししたとされる言動により、主要顧客の支持を失った経緯があるが、いまや投資家たちの信頼さえも揺らいでいるという。
CNBCは26日(現地時間)、テスラの投資家たちがマスク氏の打ち出す未来ビジョンに対し、以前より懐疑的な見方を強めていると報じた。
これまでマスク氏の楽観的な展望は、投資家に夢と希望を与えるものだったが、現在は懐疑的な反応の方が目立ち始めているという。
約束を果たせない状況が続いた結果、マスク氏は「狼が来た」と繰り返した童話の「羊飼いの少年」のような存在になりつつあるという見方もある。
ビジョンの提示も、株価下落は止まらず
マスク氏は23日、取引終了後に行われたアナリストとの電話会議で、テスラの電気自動車が間もなく完全な自動運転に移行すると明言した。所有者が眠っている間に、車両が自動運転で稼働し利益を生み出すようになると語った。
また、先月テキサス州オースティンで試験運行を開始した自動運転タクシー「ロボタクシー」についても、近く他地域へ拡大する計画を明かしている。年末までに米国人口の半数がテスラのロボタクシーを利用できるようにすることが目標だと述べた。
ただし、実現には規制当局の認可が前提であるとの条件も付け加えていた。
第2四半期の業績低迷が予想される中、マスク氏のこの楽観的な見通しが株価を押し上げるのではとの期待もあったが、現実は異なるものとなった。
翌24日、テスラ株価は8.2%の急落を記録した。
投資家たちの関心は、マスク氏の提示する将来構想よりも、補助金の打ち切りによる需要減への懸念や、安価な競合EVの台頭、そしてマスク氏の政治的言動が原因とみられる米国および欧州でのブランドイメージ低下といった現実的な問題に向いている。
求められるのは「実績」
米証券会社カナコード・ジェニュイティは、決算発表後の分析ノートで「未来ビジョンは重要だが、今テスラに必要なのは業績の回復だ」と明記した。
カナコードは、ロボタクシーやロボットといった将来性には一定の価値があるとしながらも、それによって当面の収益成長を犠牲にするわけにはいかないとの見方を示している。また、テスラがまずは利益拡大を実現することが先決だと指摘した。
投資銀行のジェフリーズも、マスク氏が示す未来像とは裏腹に、テスラの現在の実績は「退屈」と表現した。
ゴールドマン・サックスもまた、ロボタクシー分野におけるテスラの能力にはまだ不足があるとの見解を示している。
言葉が先行するマスク氏
米ビジネスインサイダー(BI)は25日、テスラが従業員に送った内部メモの内容として、早ければ今週末にもカリフォルニア州サンフランシスコ・ベイエリアでロボタクシーの運行が開始されると報じた。
しかし、これも実現性が疑わしいとの見方が出ている。
CNBCによると、テスラはカリフォルニア州でロボタクシー運行のための認可をまだ申請していないという。
カリフォルニア当局も、テスラがカリフォルニアで乗客を乗せるロボタクシー運行許可を取得していないと確認している。
マスク氏をはじめテスラ幹部らは、サンフランシスコのほかネバダ州、アリゾナ州、フロリダ州などでロボタクシー運行に向けた許可取得を目指しているとしつつも、具体的な計画については明かしていない。
一方、ロボタクシー分野の先駆者であるアルファベット傘下のウェイモは、着実に事業拡大を進めている。
アルファベットは、今年中にニューヨークやフィラデルフィアを含む米国の10都市以上で、ウェイモのロボタクシーによる試験運行を始める予定だという。
マスク氏の楽観的な発言に対し、市場は厳しい評価を下している。
ナスダック総合指数が先週だけで1%、今年全体では9%以上の上昇を記録したのに対し、テスラの株価は同期間で22%も急落した。他のビッグテック7社(M7)の中でも最も悪いパフォーマンスとなっている。
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