
登山家たちの聖地であり、世界最高峰として知られるエベレストが、長年にわたって蓄積されたごみの問題に苦しんでいる。
インドのメディア「フリープレスジャーナル」は、27日(現地時間)、大量のごみに汚染されたエベレスト・ベースキャンプの様子を映した動画を公開した。捨てられたテントやロープ、大小のビニールごみが折り重なるように散乱し、「12トンの排せつ物などの廃棄物が山を覆っている」との字幕が添えられている。動画は公開直後からSNSを通じて急速に拡散し、再生回数はすでに400万回を超えている。
現在、ネパール政府の支援のもとでエベレストのごみ回収作業が進められている。2014年には、すべての登山者に対し下山時に最低8kgのごみを持ち帰ることを義務づける制度も導入された。それにより不法投棄はかなり減少したものの、過去数十年にわたって放置された大量のごみは未だ処理されずに残っている。

以前、ネパール政府のチームは「登頂直前に滞在する最後のキャンプ『サウス・コル(South Col)』だけでも、約50トンのごみが残されている」と明かしていた。その多くは老朽化したテントや食品包装、酸素ボンベ、ロープなどで、高度8,000メートル地点の氷の中に埋まっている状態だという。さらに「凍りついた氷を一つひとつ砕いてごみを取り出す必要があり、完全に回収するには少なくとも数年かかる」と説明した。
ごみだけでなく、排せつ物も大量に蓄積されており、悪臭や感染症の原因となっている。登山者たちは平均して約2週間山に滞在するが、標高の低い地点では地面に穴を掘って簡易トイレとして利用する。しかし標高が高くなると地面が凍りつき、排せつをそのまま行うことが多い。こうした高地は管理が難しく、排せつ物がそのまま放置されているのが現状だ。
「ごみの山」と揶揄されるエベレストの現状に対し、最近ではドローンの導入も始まっている。ネパールのスタートアップ企業は今年4月から大型ドローンを活用し、ごみの回収作業を行っている。ドローンははしごやロープなど必要物資をキャンプに運び、ごみが入った袋を吊り下げて回収する仕組みだ。
ごみ回収を支援するシェルパのラクパ・ヌル氏は「今年は私たちのチームが通常処理しているごみの約70%をドローンが代行した」と語り、「今後さらにドローンの活用が広がることを期待している」と話した。
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