
英国で進行中の60代同性カップル殺人事件の裁判で、30代の成人向けクリエイターの男が性交渉中に2人を殺害し、遺体を切断して一部を冷凍保存していたことが明らかとなり、社会に衝撃を与えている。
4月30日(現地時間)、英紙「ガーディアン」は、前日に英国ロンドン中央刑事裁判所(オールドベイリー)で、2件の殺人容疑で起訴されたコロンビア国籍のヨスティン・アンドレス・モスケラ(35歳)の初公判が開かれたと報じた。
モスケラは、2024年7月8日、ロンドン西部シェパーズブッシュのスコット通りにあるアルバート・アルフォンソ(62歳)とポール・ロングワース(71歳)のアパートで両名を殺害した容疑で起訴されている。
検察は、ポール・ロングワースについて「頭部をハンマーで複数回殴打され、頭蓋骨が粉砕されていた」と述べ、アルバート・アルフォンソについては「刃物で腹部、胴体、顔、首を繰り返し刺されていた」と説明した。また、「アルフォンソの殺害は被告との性交渉中に起き、その様子が映像に残されていたため、被告の否認は極めて困難だ」と述べた。
水泳インストラクターのアルフォンソと元配管工のロングワースは、2023年2月にシビル・パートナーシップ(同性カップルなど様々な形態のカップルの関係を法的に認める制度)を結んでいた。モスケラは複数回英国を訪問し、アルフォンソとロングワースと共に過ごしていた。両名もコロンビアにある被告の故郷を訪れたことがあるという。検察は、三人について「一緒にいることを楽しんでいるように見えた」と述べた。
特に、モスケラはアルフォンソから金銭的報酬を受け取り、性的関係を持っていたという。アルフォンソは他の男性との性的接触を好み、過激な行為も行っていたが、ロングワースはそれを認識していたものの参加はしていなかったとされる。モスケラは「iamblackmaster」という名義で、2017年からアダルト動画をネット上に投稿していた人物だ。
検察は「モスケラは昨年6月にアルフォンソとロングワースを訪れた際、別の目的があったようだ」と述べ、被害者カップルの金品を盗む目的があったと推測されるとしている。
モスケラのコンピュータを分析した結果、被害者が住むロンドン西部の自宅の不動産価格を調べ、Facebook Marketplaceで冷凍庫を検索していたことが判明した。
また、アルフォンソのインターネットバンキングのログイン情報が記載された表計算ファイルを自身のノートパソコンに保存し、「ロンドンの連続殺人鬼」や「ジャック・ザ・リッパーに関する映画」を検索していた。
モスケラは被害者を殺害した後、2024年7月10日午後11時30分頃にクリフトン吊橋へ向かった。自転車で通りかかった人物が、大きな赤い旅行かばんの横に立つモスケラに声をかけ、かばんが重そうだと話しかけたという。その後の会話で不審に感じた通行人が警察に通報し、モスケラは最終的に逮捕された。
検察は「被告はロンドンの自宅で二人を殺害後、遺体を切断して首を切り落とし、二日後にブリストルへ運び、旅行かばんに入れていた」と説明した。
この日の公判で、モスケラはアルフォンソに対する過失致死の容疑は認めたが、2件の殺人容疑については否認した。ロングワースの死についてもアルフォンソに責任があると主張しており、裁判は現在も継続している。
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