現代人の目は一日中酷使されている。
スマートフォンやパソコン、タブレット、テレビなどの電子機器を長時間使用すると、目の表面の涙膜が不安定になり、乾燥感や目のべたつきを感じるようになる。最近、眼科医が推奨する方法の一つが「温罨法」だ。目に適度な熱を加えるこの方法が実際に乾燥を和らげる効果があるのか検証してみよう。
温罨法が目の健康に効果的な理由は、熱がまぶたの中の油分泌腺(マイボーム腺)の働きを促進するからだ。涙は単なる水分だけでなく、水分層の上を覆う薄い油分層があり、これが蒸発を防いでいる。しかし、マイボーム腺が詰まると油分層が不足し、涙が蒸発しやすくなり、ドライアイが悪化する。温罨法は詰まった油分腺を柔らかくし、油分の分泌を促す。

温罨法の方法は簡単だ。清潔なタオルを温水で濡らし、軽く絞って目の上に置くだけでいい。市販の専用ホットアイマスクや電子レンジで温められるアイパックを使うと便利だ。温度は熱すぎず、肌に心地よい程度(約40℃前後)が適当で、1回につき5~10分程度が推奨される。
この方法は特にドライアイ、初期のものもらい、まぶたの炎症(眼瞼炎)の患者に効果的だ。長時間のデスクワークをする会社員、コンタクトレンズ使用者、季節の変わり目や冬場の暖房環境で目が乾燥しやすい人にも適している。
ただし、注意点もある。急性の炎症で目が腫れたり充血している場合、細菌性結膜炎、外傷がある場合は、温罨法がかえって症状を悪化させる可能性がある。また、高温で長時間行うと火傷の危険があるので注意が必要だ。温罨法後は手をよく洗い、まぶたを優しく拭くことをお勧めする。

眼科医は、温罨法を1日1~2回、継続的に行うことでドライアイの症状緩和に効果があると助言している。ただし、症状が長引いたり、痛みや視力低下などを伴う場合は、自己治療に頼らず必ず医療機関を受診し、正確な原因を特定する必要がある。
継続的な温罨法は涙の質を改善し、乾燥感の緩和に役立つ可能性がある。しかし、万能の解決策ではないため、自身の目の状態を考慮して適切に活用することが重要だ。
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