イスラエルは25日(現地時間)、ガザ地区南部ハンユニスに所在するナセル病院を空爆し、AP通信などの報道関係者を含む少なくとも20人が死亡、数十人が負傷した。
『AP通信』や『アルジャジーラ』などの情報によると、この日、ガザ地区保健省はイスラエル軍の空爆によりガザ地区南部にある病院の4階が崩壊したと発表した。

さらに、最初の空爆で救助隊員や記者らがナセル病院に駆けつける最中に二度目の空爆が実施され、犠牲者はさらに増加した。
報道を総合すると、今回の空爆で報道関係者6人が死亡した。AP通信などでフリーランスとして活動していたマリアム・アブ・ダカ記者、アルジャジーラのムハンマド・サラマ記者、ロイター通信のフリーランスであるフサム・アルマスリ記者、米NBC放送のムアット・アブ・タハ記者、日刊紙アルハヤト・アルジャディーダに所属するハサン・ドゥハン記者、クドスネットワークやミドル・イースト・アイなどでフリーランスとして働いていたアメド・アブ・アジーズ記者が犠牲となった。
マリアム・アブ・ダカ記者は、ナセル病院の医師たちが、飢餓により衰弱した基礎疾患のない子どもたちを救おうと奮闘する様子を報道するために取材していた。 イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はこの日、ナセル病院空爆後に声明を発表し、「記者や医療従事者、民間人の活動を重要視している」と述べ、今回の空爆による死者について「遺憾である」と語った。
ネタニヤフ首相は「軍当局が徹底的な調査を進めている」と述べた。
さらに、「我々の戦争は(パレスチナ武装組織)ハマスのテロリストとの戦いであり、正当な目標はハマスを打倒し人質を解放することにある」と強調した。
『タイムズ・オブ・イスラエル(TOI)』の報道によれば、イスラエル軍のエフィ・デフリン報道官は動画声明で、同軍は民間人を「意図的に標的にしていない」と主張した。
彼はさらに「イスラエル軍は民間人の被害を最小限に抑えるよう最善を尽くすとともに、自軍の部隊の安全確保にも努めている」と述べ、「極めて複雑な状況下で作戦を遂行している」と語った。
また、「ハマスのテロリストは病院などの民間インフラを人間の盾として意図的に利用し、ナセル病院内で作戦を行っている場合さえある」と主張した。
それにもかかわらず、彼は今回のナセル病院空爆について「直ちに調査を実施するよう指示した」と述べた。 ジャーナリスト保護委員会(CPJ)によれば、22か月に及ぶ戦争の中で、ガザ地区では計192人の記者が死亡している。CPJは、ロシア・ウクライナ戦争ではこれまでに18人のジャーナリストが犠牲になったと報告している。イスラエルによる病院への攻撃や空爆は珍しいものではなく、ガザ地区全域で多くの病院が攻撃や急襲の被害を受けているが、イスラエルは証拠を示すことなく、医療施設内で活動する武装組織を標的にしていると主張してきた。
ナセル病院も繰り返し爆撃の脅威にさらされている。保健省によれば、ナセル病院は昨年6月にも空爆により3人が死亡、10人が負傷した際、イスラエル軍は病院内の指揮統制センターで作戦を遂行中のハマス武装勢力を標的にしたと述べている。
保健省は24日、ガザ地区の戦争で少なくとも62,686人のパレスチナ人が死亡し、その約半数が女性と子どもであると発表した。国連および独立専門家は、ガザ地区保健省の発表を戦争犠牲者に関する最も信頼できる情報源と見なしている。イスラエルは保健省の数字に異議を唱えているが、自らの集計結果は明らかにしていない。
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