
北朝鮮の金正恩国務委員長が、9月3日に中国・北京で開催される「中国人民抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利80周年記念式典」に電撃的に出席することが決定した。金委員長の式典出席により、北中ロの三国首脳が史上初めて一堂に会し、中国との関係悪化説を完全に払拭するとともに、北中ロの結束を世界に示すことになる。
中国外交部の洪磊外務次官補は28日、戦勝節行事の準備状況に関する記者会見で、中国の習近平国家主席の招待により26か国の国家元首および政府首脳が記念行事に参加すると述べ、金委員長を含む出席者リストを発表した。中国側は、金委員長の式典出席に特別な意味を込めている。洪次官補は「我々は金委員長の中国訪問と戦勝節行事への出席を心から歓迎する」と強調した。さらに「苦難の戦争時代において、中朝両国民は互いに支え合い、日本の侵略に共に立ち向かい、世界反ファシスト戦争及び人類正義の勝利に重要な貢献を果たした」と述べた。
北朝鮮の指導者が戦勝節式典に参加するのは、1959年以来66年ぶりだ。2015年の戦勝70周年記念式典には、当時の労働党書記チェ・リョンヘ氏が北朝鮮代表として出席していた。国家を挙げて今回の行事を準備している中国にとって、金委員長の出席は喜ばしいことであり、これまで取り沙汰されてきた北中の関係悪化説は、今回の金委員長の訪中により一気に払拭された。
金委員長の中国訪問は2019年1月が最後で、その後、習主席が同年6月に北朝鮮を訪問したが、翌年から新型コロナウイルスのパンデミックが長期化し、両国首脳の会談は行われなかった。さらに、3年以上にわたり両国間の国境が閉鎖され、人的・物的交流が途絶している。加えて北朝鮮軍のウクライナ戦争参戦など、北朝鮮とロシアの関係強化により、中国と北朝鮮の関係悪化が指摘されていた。
しかし、今年から両国間の高官レベルの交流が再開され、北朝鮮の主要な外貨獲得手段である労働者派遣も再開された。中国からの経済支援を切実に必要とする北朝鮮は、もはや両国関係悪化を放置できない状況にあると分析される。AP通信は、北朝鮮の対外貿易の97%が中国との取引であると指摘し、北朝鮮が経済難を克服するためには中国との協力関係修復が不可欠だと、金委員長の訪中の背景を説明した。

同時に、今回の金委員長の訪中により、北中ロ3か国は世界に向けて結束を誇示することになった。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領も今回の行事に出席するが、北中ロ3か国首脳が一堂に会するのは前例がない。これにより、天安門の望楼で習主席を中心に、金委員長とプーチン大統領が両側に並び、中国の軍事力を誇示する閲兵式を見守る光景が世界に配信される予定だ。また、北中ロ3か国首脳会談の可能性も取り沙汰されている。
ただし、ウクライナ侵攻と核開発により国際社会から孤立している北朝鮮とロシアの関係強化は、米国をはじめとする西側諸国全体との対立を一層深め、新冷戦体制の固定化という副作用をもたらす可能性があり、中国もこれを懸念している。したがって、中国の本音は、北中ロの結束を実質的に強化するというよりも、北朝鮮とロシアに接近している米トランプ政権を牽制し、両国に対する中国の影響力が依然として健在であることを誇示するイベントを演出することにあるとみられる。
米国のドナルド・トランプ大統領は最近、ウクライナ戦争終結交渉のためプーチン大統領との直接首脳会談の意向を示し、また金委員長との会談を求める韓国のイ・ジェミョン大統領の要請に対し「今年中に会いたい」と述べている。北朝鮮にとっても、米朝首脳会談の可能性が高まる中、今回の訪中を通じて中国との血盟関係が依然として維持されていることを象徴的に示すことで、対米交渉において有利な立場を確保しようとする狙いがあるとみられる。
北韓大学院大学のヤン・ムジン教授は「ロシア・ウクライナ戦争終結後、北朝鮮とロシアの密接な関係が弱まれば、結局米国との対話局面で中国という『後ろ盾』が必要になる」と指摘し、今回の行事参加が米朝首脳会談を促す可能性もあると展望した。梨花女子大学のレイフ=エリック・イーズリー教授もワシントン・ポスト(WP)とのインタビューで「強い立場からトランプ大統領との対話再開を図るため、金委員長は習主席との関係修復に努めている」と述べ、閲兵式参加はそのための極めて目立つ手段だと分析した。
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