
米連邦最高裁がドナルド・トランプ大統領の「相互関税」政策を違法と判断した場合、米政府は最大で1兆ドル(約147兆円)近い関税を返還しなければならない可能性があると報じられた。
8日(現地時間)、米『CNBC』によると、米政府はすでにトランプ大統領の相互関税によって数百億ドル(数兆円)を徴収している。しかし下級審と同様に最高裁が多数の関税を違法と判断すれば、徴収分はそのまま返還される可能性がある。
スコット・ベッセント財務長官は、返還額が7,500億〜1兆ドル(110兆~147兆円)に達する恐れがあると先週最高裁に提出した陳述書で明らかにした。
この莫大な金額には、8月24日までに税関・国境警備局(CBP)が「解放の日」宣言以降に徴収した720億ドル(約11兆円)超の関税収入も含まれる。また来年6月までに追加徴収される予定の「返還リスクにさらされている関税収入」も返還対象となる可能性がある。ベッセント長官は「これを覆せば甚大な混乱を招く」と警告した。
トランプ政権は最高裁に対し、来夏まで待たずに迅速に合法性を判断するよう要請した。判決が早ければ早いほど返還額を抑えられるためだ。米政府が過去に関税を返還した例はあるが、今回のように規模が桁違いとなるのは前例がない。
ベッセント長官は米『NBC』に出演し、「最高裁が返還を命じれば従わざるを得ず、それは『恐ろしい結果』になる」と述べた。二つの下級審は、トランプ大統領が国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠に、事実上ほぼすべての貿易相手国に高関税を課したことを「大統領権限の乱用」と判断した。トランプ政権はこの判断を覆すよう最高裁に求めている。
D・ジョン・サウアー法務次官補は請願書で「本件の利害関係は比類ないほど大きい」と強調し、大統領の「関税があれば豊かな国、なければ貧しい国になる」との主張を代弁した。
トランプ大統領も「もし米国が徴収済みの数兆ドル(数百兆円)を返還しなければならないなら、国家は強国から破綻国家へと転落する。経済的な帰結は成功ではなく災厄となる」と警告した。
最高裁がいつ審理に入るかは不透明だが、政権が通常の10月受理を待たずに急いで提訴したため、年内に判決が出る可能性もあると見込まれている。
返還手続きの詳細も依然不明で、一部専門家は輸入業者が自ら請求を行う必要性を指摘。貿易専門家は「関税納付記録を厳格に保管し、必要書類を迅速に提出することが重要だ」と強調した。
仲介業者が請求を代行する場合、「税関業務は一気に倍増し、輸入業者は返金を求めて殺到する」との見方も出ている。
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