オーストラリア、約1,600億円規模を投入
中国を念頭に偵察・攻撃用潜水ドローン導入へ
長距離自律航行が可能なステルス無人潜水艦、数十隻を配備予定

オーストラリアが中国による太平洋での軍事力拡大に対応するため、約17億豪ドル(約1,657億1,597万円)を投じ、偵察や攻撃が可能な大型無人潜水艦(UUV)の導入を進める。
オーストラリア政府は10日(現地時間)、防衛企業アンドゥリル・オーストラリアと「ゴースト・シャーク」UUVの開発・導入に関する契約を結んだと発表した。

このUUVは沿岸や軍艦から発進し、敵に探知されることなく長距離を自律航行しながら、情報収集、監視、偵察、攻撃などの任務を遂行できるとされる。
オーストラリア海軍は来年1月から今後5年間で数十隻を受領し運用する計画だが、具体的な隻数は明らかにされていない。
リチャード・マールズ副首相兼国防相は、「ゴースト・シャークは極めて長い航続距離とステルス性能など世界最高水準の技術を備えている」と強調した。
そのうえで、このUUVが海軍の水中戦能力を大幅に強化し、既存の水上艦や潜水艦の戦力を戦略的に補完する役割を果たすと説明した。

マールズ副首相は「オーストラリアは第2次世界大戦以来、最も複雑で、ある意味では最も脅威的な戦略環境に直面している」と述べた。そのうえで「国防費を拡大し、より高い能力を備えた防衛力を構築する取り組みは、武力衝突を抑止し、この地域に平和と安定をもたらすためのものだ」と付け加えた。
オーストラリアは先月初め、約60億ドル(約5,849億4,213万円)を投じ、日本の三菱重工業が建造する最新のもがみ型護衛艦11隻を導入することを決定した。
また、米国と英国との安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」を通じ、原子力潜水艦の取得も進めている。
ただし、米国でドナルド・トランプ政権がAUKUSについて「アメリカ・ファースト」の政策に合致するかどうか再検討に入ったとされ、枠組みの将来は不透明な状況にある。
さらに今年2~3月には、中国海軍の軍艦3隻がオーストラリア周辺を異例の航行を行い、十分な事前通告なしに実弾射撃訓練を実施するなど、示威行動を展開。オーストラリア政府はこれを受け、対艦ミサイルの導入など海空戦力の強化を急いでいる。

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