
米議会で、MQ-9(リーパー)がヘルファイアミサイルを受けても飛行を続ける未確認異常現象(UAP)の映像が初めて公開された。前例のない映像である。
共和党のエリック・バーリソン下院議員(ミズーリ州)は9日(現地時間)、下院政府監視・説明責任委員会の小委員会で50秒間の映像を公開した。かつてUFOや未確認空中現象と呼ばれていたこの現象は、現在「未確認異常現象(UAP)」として知られている。
映像は2024年10月30日、イエメン沖で撮影されたもので、MQ-9ドローンが白く輝く球状の未確認物体を追跡しながら、AGM-114ヘルファイアミサイル(対戦車・多目的対地ミサイル)を発射する様子が捉えられている。ミサイルに被弾した物体は、一部が破片として飛散したものの、軌道を変えずに飛行を続けた。
画面には「LRD LASE DES」との表示も確認される。これは、1機のMQ-9が標的をレーザーで照射し、別のリーパー・ドローンがレーザー誘導型ミサイルで攻撃する「バディ・レーシング(相互レーザー標的指示)」と呼ばれる戦術を示している。
バーリソン議員は「内部告発者から提供された情報で、現在精査中だ」と述べ、「問題は、なぜ我々がこの情報にアクセスできないかだ」と指摘した。証人として出席したUAP調査専門のジャーナリスト、ジョージ・ナップ氏も「ヘルファイアミサイルを直撃しても物体が跳ね返されたように見えた」と証言し、「国民にはこうした映像を見る権利がある」と強調した。
一方、米国防総省は「共有すべき情報はない」として公式確認を避けた。専門家によると、ドローンのセンサー映像は解像度に限界があるため、物体が球状か円筒形かの判別は困難だという。しかし、実戦中の米軍ドローンが未確認飛行体と交戦した事実が公式映像で確認されたのは今回が初めてである。
米国防総省は2022年、既存のUAP調査部門を統合して「全領域異常解決局(AARO)」を設立し、過去数十年にわたり空中、海上、宇宙などあらゆる領域での異常現象を収集・分析している。
ただしAAROは「現時点で地球外生命体の兆候や技術的証拠は確認されていない」とする年次報告を発表しており、今回の映像公開は政府の情報隠蔽疑惑とともに、UAPに関する透明性の要求をさらに高める結果となった。
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